4:お団子 ◆bZ4I4TB4eY
2013/05/19(日) 03:28:38.11 ID:jRCvLuzT0
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「先生、柿本先生。」
そんな風に、僕は平坦な声の元、なだらかで、声のトーンが一段と低い声で、耳元に響く。
僕は稀にだが、極稀に、執筆中にふと寝てしまう事がある、どうしてかは知らないのだが、机の上で結構無理な姿勢で寝てしまう、
(寧ろ机で無理無く寝れる人が居たら教えてほしい、そしてその方法をどうか僕に伝授してほしい。)
それは良いとして、結構に揺らされて起こされた僕は、子供の様に不機嫌であった、
勿論揺らされて起こされたことに対して怒っているのではなく、ルーチンワークが達成できなかったことに対しての怒りだったのだが。
流石に誘に向かって八つ当たりするなどという事は全くなく、それをよく理解していた誘は、僕にホットミルクを勧めてくれた。
「柿本先生、お話の方はどうですか?」
「流石は、先生ですね、ほとんど出来ているじゃないですか。」
……ちなみにあと二百ページは書くつもりなのだが、やはり今まで書いてきた作品が作品だったか、数百のページをそんな軽く扱ってくれる。
そんな風に生き生きとされると、なんだかこちらが申し訳なくなってくる、今まで一年間で彼女に渡した原稿は単行本にして約三本分程、
今はいろいろと企画が進んでいるのでそちらにも足を運んでいたりするのだが、どちらかと言えばそれはまた別の話なので今回は省く事とする。
それはそうと、寝起きの僕は何と言ったか、他愛無い挨拶とさり気にもう少し時間が掛かる事を言っていたと思う。
それを聞くと彼女は、誘は、
「ええ、それは全然構いませんよ、最も、柿本先生の締め切りは本当はもっと長いんですから。」
「体には、もっと気にかけてくださいね。」
「先生には、私がいますけど。」
僕は正直に反論もできないので素直に返事を返す、ただ、締め切りに関してしまえばどうしようもないような気がする、僕は好きで変人なのだから、
僕は好きでこのルーチンワークを気に入って実行に移しているのだから。
正直に言ってしまえば好きでルーチンワークをしている訳では正確に言えば違うような気がしないでもないのだが。それはいいとしよう。
そういう性分なのだ、それで体を壊すのは頂けないが、それもまた仕方がないだろうと思う。あくまでも思うだけだ。口に出してしまえばまた怒られるので言わないで置く。
それでは、後日談をしよう、今回この話を書く事となった原因、小説に描ききれなかった今から遡る事十一年前、あのトラウマ、あの小説の後日談、お話の裏、
少女UがU・Uが夕暮誘として、
社会復帰した原因を、彼女が、夕暮誘は、
幸せに暮らしているという事を、夕暮誘は変わった変人で、異質であり続け、異様でありながらに、人一倍、幸せになっているという事を。
これは決して僕達が、
僕と誘が話し合って決めたわけではないし、
誘から言い出したわけではない、
これは僕の自己満足だ、
きっと誰も得などしないことなど分かり切っているが、
それでも、僕は皆に言っておきたいのだ、十一年前の様に、
どんなに変わっていようとも、幸せになって良いんだよ。と。
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