3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/19(日) 23:32:09.85 ID:U5p14p78o
「ふぅ……ようやく帰宅……か」
小走やえ、28歳。今日も仕事を終え、誰も待つ者がいない1Kの我が家へと帰る。
十二月も半ば、師走の名の通りに日々はあっという間に過ぎていく。
吹きすさぶ寒風からとっとと逃げ出したいと、小走りとは言わないくらいの早歩きで家路を急ぐやえだった。
「ただいまー」
家に帰るやいなや窮屈なスーツを脱ぎ、朝に脱いだままだった部屋着に袖を通す。
今日の夕食は、閉店間際のスーパーに駆け込んで手に入れてきた半額惣菜と朝に炊いておいたご飯の残り。
大学生時代から使い続けてきた炊飯器の調子が最近どうも芳しくなく、半日近く保温していた白米は少し固くなっている。
店先で冷たくなっていたハンバーグを電子レンジの中に突っ込みながら、やえはふと、今の生活というものについて考えていた。
晩成高校を卒業したあと、やえは関東の私立大学に進学した。
実家を出て、初めての一人暮らし。不安と期待に胸を満たしながらも、慣れない一人の暮らしと学業とを両立させるのにいっぱいいっぱいだったことを思い出す。
そういえばあの頃も、自炊をするぞと張り切っていたのは最初の一ヶ月だけだったな、と苦笑しながら電子レンジからハンバーグを取り出す。
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