過去ログ - モバP「蘭子が中二病になった理由」
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9:むぶろふすか ◆gijfEeWFo6[saga]
2013/05/20(月) 02:36:33.96 ID:Bs/q4Qil0

「真、だな……? その言葉に偽りは無く、真に我の事を愛しているな?」

 彼女の必死の問いに対し、深く頷く。苦痛に苛まれる中で、彼女は安心したような表情を浮かべた。
 次の瞬間、彼女は、とうとう胸を押さえて蹲った。

「お、おい、大丈夫か? 救急車……!」

 携帯を取り出そうとした手を、這い寄って近づいてきた彼女に掴まれる。
 彼女はそのまま、俺の胸にその身を預けた。

「我を……待ち焦がれろ……」

 喉の奥底から振り絞ったような、呻き声のような、必死な声。

 次の瞬間、彼女はどこからとも無くシャープペンシルを取り出し、自らの腕に深々と突き刺した。

「い、痛っ……」

「いきなり何を……」

「……プロデューサー」

 涙を零す少女を見て、直感的に感じ取った。もう彼女はいないのだと。

 今目の前の少女は、さっきまでいた彼女ではない……

 俺がプロデュースしていた、神崎 蘭子だ。

「プロデューサー、やっと、やっと戻れました……」

 どこか、濁った瞳で俺を見つめる蘭子。

「ずっと胸が痛かったです、プロデューサー……プロデューサーと話しているのは私なのに私じゃなくて、とっても苦しくて、とっても悲しくて……ずっと嫉妬してました……でも、ようやく戻って来れた」

 何で……。彼女は……、どこに……

「プロデューサー? どうして……どうしてそんな顔するの? ……あ、プロデューサーはあの喋り方が好きなんですね!」 

 違う……喋り方が好きなんじゃない。『彼女』が好きなんだ。

「闇に飲まれよ!」

 蘭子が記憶の中にある彼女の真似をする。とても似ていたが、そんな事どうでもよかった。

「ちょっと、難しいですね……でも、プロデューサーの為に練習してきますね! 期待して待っていてください!」

 何も言えなかった。ただ、ショックに自失していた。

「ねぇ、プロデューサー……あの女よりも、私の方がプロデューサーの事、愛してますから!」

 ごめん、蘭子……。

 俺は――
   


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