過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/22(水) 00:11:18.26 ID:GshVNNRdo

勇者「……俺達だから、ここまで来れた。だろ?」

魔法使い「はいはい。どうせもう帰れないわよ。なら、やってやろうじゃないのさ」

勇者「……ごめん」

魔法使い「それにしても。魔王も気が利かないわねぇ」

魔城の空に垂れこめる暗雲に阻まれ、星々は見えない。
どこまでも曇った空を仰いで、魔法使いはぼやいた。

魔法使い「こういうシチュエーションって、普通はお星さまの下なのに」

そう言って、魔法使いは体の力を抜き、勇者に体重を預ける。
彼女のささやかな体重が勇者の左肩にかかるが、踏ん張るまでもなく支えられた。
言ったように星の下でこうなれていたのなら、照れくさくもなるだろう。
だがすぐそこには旅の最終目的地がそびえて、曇天の深淵から、不吉な音が止まない。

勇者は利き手側に立てかけていた剣の柄を、そっと撫ぜる。
魔城を前にして、その剣も持ち手と同じく昂るのか、柄頭から鞘尻に至るまで、ほのかに火照ったように暖かい。
頷き、分厚い雲に遮られた夜空を跳ね上がるように――その先にあるはずの星を、突き通すように見上げる。

勇者「約束だ。必ず、空を見せる」

左手は、彼女の肩を優しく抱く。
右手は、聖剣の鞘を強く握り締める。
それだけで――――勇気が、いくらでも水底から噴きあがる泉のように湧いてきた。

勇者「お前の為に。この世界の人々のために。……俺は、魔王から『青空』を取り戻す」


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