過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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183: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/06/01(土) 23:52:38.69 ID:+j7WNh9Vo
淫魔「楽しかったですよ〜。色々連れて行ってくれましたし。騎士さん面白いじゃないですかぁ」

騎士「…………?」

淫魔「覚えてます? 初めてお船に乗った時、酔って大変でしたよね〜、騎士さんってば」

騎士「昔から船は苦手だったんだ。水に浮かんでいる理屈が分からん」

淫魔「考えすぎだと思いますけど。それを言ったら、何で『指』を五本も動かせるのかも分からないじゃないですか〜」

騎士「……なるほど、確かに不思議だ」

淫魔「ね〜? 考え方次第ですよ、何でも。さて、ご馳走様でした〜」

騎士「…………」

考え方、次第。

もしも、彼女へ薬を与える道を選べば、彼女は全てを忘れる。
そして、騎士の心臓もとうとうもたないだろう。
命がひとつだけ失われ、ひとつだけ残る。

でも――――そのかけがえのない『ひとつ』を、残せる選択肢が、今ある。
彼女は、決して……不治の病などでは、無いのだから。

騎士「……食器を下げてくる。さぁ、眠れ。……ほら」

食器と盆を重ねてサイドテーブルに置き、彼女の背中に手を回してゆっくりと横たえる。
そして、ゆっくりとその頬を撫でてから、毛羽立った毛布をかける。
騎士の顔は、全ての重荷を振り払ったかのように、穏やかに緩んでいた。


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