過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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199: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/06/04(火) 03:18:04.52 ID:E/Gr+tAqo

夕焼けを受けて琥珀色に染まる、小さな村。
そこには今、収穫の祭りとも違う活気があり、その中心には、花飾りをつけた若い一組の男女がいる。
酒に、焼きたてのパンや新鮮な作物、肉や魚を使った料理が惜しみなく振る舞われ、
それらを囲むように、村人たちが歌い踊り、宴を楽しんでいた。

丘の上の忘れられた教会から、その様子が見下ろせた。
ステンドグラスは割れて鐘楼もとうに朽ち果て、もはや訪れる者などいない。
祭壇の原型は残っているが、もはやそこに教典が置かれる事など、ない。
ここまでもリュートや横笛、鼓の音色は届いて、村人たちの歌声と歓声とが聴こえて、
更に廃教会の侘しさを増すように、虚しく、そして慰めるように響いた。
その屋根の上に、異形の影がひとつ。

片方しかない翼を折りたたみ、屋根の上に腰掛けるように、横目で村の様子を見下ろしている。
その瞳は、輪の中心にいる、『花嫁』を、じっと捉えていた。
正しくは――――白いケープと、レースで飾り立てた、素朴ながらも間違いなく華やかなドレスを。

淫魔「……似合ってんじゃん」

ぽつりと呟くと、彼女は沈みゆく夕日を見つめながら、喜びの音色に、再び耳を澄ませた。


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