過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/22(水) 00:02:17.05 ID:GshVNNRdo
魔王の城を望む丘の上で、恐らく最後となる野営を行っていた。
禍々しい沼地の中心に聳える魔の居城は、ただ見ているだけでも正気を蝕まれるようだ。

空を貫くように伸びた無数の尖塔。
夜だというのにその上をなおも飛び続ける、鳥型の低級な魔物の群れ。
城門を正面から望めば、それ自体が、恐ろしい魔物の固く閉じた顎門にさえ見える。
不知火の如く沼地を彷徨う蒼白の鬼火は、その数を決して減らさない。。
奇妙にねじれた点在する木々はぎしぎしと揺れて、絞首台の縄にも似た音が、遠く離れたここにさえ聞こえてきた。


勇者「とうとう、ここまで来たんだな」

遥か前方にある城を見据えて呟けば、ふたつの声が、となりから返ってきた。
ひとつは、魔王城を前にしてなお気楽で、弾けるように快活な。
もうひとつは、細く静かだが、笛の音のようにすぅっと耳に飛び込む、穏やかな。

魔法使い「はいはい、来ちゃったわよ。あーあ……旅も終わり。ふかふかのベッドで眠れるのね、明日から」

僧侶「ええ。ようやく……世界を取り戻せますね」


戦士「……魔法使い、さっさと火をよこせ。飯の支度をするぞ」

後ろから聞こえた声は、低く太い、若干しゃがれた男のものだった。


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