過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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213: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/06/04(火) 03:31:19.30 ID:E/Gr+tAqo
ようやく、淫魔は体を少女へ向けた。
その目は、少女が下げた籠の中にある、赤い林檎に向いた。
尻尾を使ってひょい、と一つかすめ取り、右手に移してから教会の壁にもたれかかる。

淫魔「こういうのって、無いものねだりなんだよ。アタシらからすると、人間が羨ましいね」

スカート部分で林檎を一拭いして、丸かじりにする。

淫魔「……んめーな、コレ。オマエんとこで作ってんの?」

少女「え、ええ……はい」

淫魔「そっか。で、話に戻るけどさ。むしろ、アタシらの真似なんて、しない方がいいじゃん?」

少女「それはどうして……」

淫魔「オイオイ、考えろよ。……『淫魔』ってさ、人間の『精』を搾って生きてるんだよ」

少女「でも、フツーに食べられてるじゃないですか」

淫魔「人間界で活動するために必要なだけ。『魔界』なら別に無くても平気さ。で、つまりこれ」

既に半分ほどを食べ終えた林檎を掲げて見せる。
口の中の果肉を飲み下すと、講釈が続く。

淫魔「アタシらにとっては、『作業』なのさ。林檎を育てて収穫したり、牛の乳搾ったり、解体して肉にしたりとかと同じ。
    ……そこには何も無いの。ただの『作業』、あるいは『娯楽』。その手順を知ってるってだけの話さ」

少女は、何も答えない。
答えないが――――真っすぐに、淫魔の目を見つめる。


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