過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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26: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:18:28.88 ID:4RdAMvYao
――――――いつにもまして明確な殺気で、急いたように襲いかかってくる魔物を蹴散らし、進む。
魔王直属のモンスターと言えども、四人にはまるで問題にもならなかった。
無数に仕掛けられた罠を次々と看破し、突破し、それでも掛かってしまえば打破していく。
進むうちに、モンスターと出くわさなくなっていった。
もはや城内には魔王と、勇者の一行しかいなくなってしまったかのように。

戦士「……呆気なさすぎる」

前衛を務めて歩いていた彼が、呟いた。

勇者「…………ふふっ」

魔法使い「何笑ってんのよ?」

勇者「……魔王の城で、魔王に仕えるモンスターを斬って。『呆気ない』か」

僧侶「どうか、なさいましたか」

勇者「いや、俺も同じ事を思ったよ。…………『人間』が思っちゃいけない事なのにな」

戦士「さっきから、何を言いたいんだ」

勇者「……ごめん、俺にも分からない。……それより、魔王は近いぞ」

勇者は、剣を握る手に力を込めて、息を整える。
刻一刻と強まっていく魔王の気配は、段々と正気を蝕んでくる。
息を吸う事にさえ重さを感じて、肺の腑が押し潰されそうだ。
それは僧侶や魔法使いも同じく、冷や汗をかいていた。
火種に近づけば近づくほど、その熱量を感じるのと同じように。
『魔王』という存在に近づくほどに、冥界の海のように静かで底知れない、暗黒の魔力を感じる。


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