過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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28: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:20:54.97 ID:4RdAMvYao
勇者「魔王の側近か?」

魔界騎士は、答えない。
鋭い殺気は身に纏っているが、名乗った後もローブを脱ぐ様子が無い。
警戒したまま様子を窺っていると、やがて、魔界騎士が口火を切った。

魔界騎士「……勇者よ。貴様は通れ」

勇者「何……?」

唐突な言葉に、理解が追いつかない。
勇者の身だけを通すその理由が、まるで分からなかった。

魔界騎士「……貴様は通す。だが……他は、通さん」

瞬間、脱ぎ捨てられたローブが翻り、宙を舞った。
その下からは――――名に相応しく、一種の高貴ささえ感じる姿が現れた。

切れ味さえ備えていそうなほどに禍々しい漆黒の鎧が、爪先から頭頂までを包んでいた。
その表面に不規則に走る真紅の筋は、溶岩を通した血管のように鈍く輝く。
鎧には鋲も蝶番もなく――――継ぎ目すらない。
右の背には小さな翼が四枚、左の背からは身を隠せるほど大きな翼が一枚。
『騎士』の称号に相応しく――――両手にはそれぞれ、闇夜から掴み出したかのような剣と盾がある。

戦士「……勇者。先に行け」

目の前の騎士に応じるように一歩進み出て、言う。
遅れて、二人の後衛も続いた。

魔法使い「……すぐに追う。心配するんじゃないわよ」

僧侶「そうです。……さぁ、早く」

勇者は、振り向かない。
剣を携えたまま、無造作に魔界騎士の右手のすぐ傍を通り抜け、彼方の扉へと駆けていく。
その足音が遠くへ消えた頃、ようやく――――両陣営が、戦闘態勢に入る。


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