過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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34: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:25:59.36 ID:4RdAMvYao
魔界騎士「我が眷属は、魔界では……『決着の種族』と呼ばれていた、ようだ」

魔法使い「……決着?」

魔界騎士「俺達に寿命は無い。病も無い。……戦い、倒される事でしか俺達は死ねん」

魔法使い「…………なんで……」

『なんで、滅んだ』――――?
そう問おうとした時、先に答えを用意していたのか……付け足された。

魔界騎士「千年前の『魔王』に従い、俺以外の全員が人間界に降り立った。……して、『俺達』は『俺』になった」

左手を揺らし、無造作に彼は自らの身を指す。
もはや同族など存在しない――――ひとり取り残された、その身を揺すって見せた。

魔法使い「……で、あんたもみんなと同じところに行きたいって訳?」

魔界騎士「或いは。だが、『決着』をつける事こそが我らが存在の意義」

魔法使い「じゃぁ、何で……あんた、ぼーっと立ってんのよ。今がチャンスでしょ」

魔界騎士「『勝利』と『決着』は全く非なる。死力を尽くし、つまらぬ小細工なく打倒し、屍を踏み越える。
      それこそが……真の『決着』。勝敗などという些末な価値観ではない。それこそが我らの世界」

恐らく、それ故に――――魔界騎士は、追撃をしない。
回復を待ち、道具を使わせ、態勢を立て直して武器を持ち替える事さえ待つ筈だ。

勝利を得る為に戦うのではない。
もはや魔王へ尽くす忠誠でもない。
求めるのは、『署名』だった。

――――永遠を保証されてしまった存在を終わらせ、一太刀描きの『署名』を加えてくれる者を。
――――その種族は、永劫というアトリエの中に閉じ込められたまま、求め続ける。
――――勝つ度に上塗りされる『時間』に、何色か、何を描いているのかさえ定かではなくなり。
――――ただ、『誰か』に終わらせてもらう為だけに、服す囚人の労務のように、血の色を重ね塗るだけ。
――――いつ描き終わるか分からないまま、ドス黒く乾いて行くだけの無意味な絵を。

魔界騎士「しかし、宛てが外れた。……いつか倒れるこの身も、今ではなく……貴様らにでも、無かったのか」

その呟きは……ようやく、感情を伴った。


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