過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/23(木) 00:27:53.52 ID:4RdAMvYao
魔法使い「……聞いても、いいかしら」
問答の中で、どうにか杖に頼らずに立てるほどには回復した。
弱々しく縮んでいた瞳に、ようやく、生来の輝きが帰る。
魔法使い「あんたが魔王について来たのは、復讐ってワケ?」
魔界騎士「弱き種は、滅びゆく宿命。それを怨むほど蒙昧ではない。……さぁ、どうする。『ヒト』の魔術師」
魔法使い「…………」
魔界騎士「再び言おうか。逃げるのなら追わぬ」
再びの勧めに頷くと、彼女は懐に左手を差し入れ、幾つもの道具を掴み出した。
その全てが――――人界において希少とされる、奇跡の産物。
世界を支える大樹から舞い落ちたとされる、奇跡の葉。
その葉からこぼれた朝露を小瓶に受け止めた、完全治癒の雫。
魔力を限界まで補充する、エルフ族の秘薬。
旅の途中で蓄え、魔王の城――――魔王との決戦で放出しようと決めていた、逸品ばかり。
魔法使い「……『勇者』が、どうして『雷』を使えるか、知ってる?」
その手に、震えはもうない。
眼前にいるただ一騎のために、全てを尽くそうと決めた。
魔法使い「…………『雷』はね、真っ黒で分厚い暗雲を切り裂いて、『雨』に変えてしまうの」
『葉』を、倒れた戦士の心臓の上に置く。
それだけで『葉』は溶けて、心臓を賦活させ、ほんの数秒の間に立ち上がらせた。
魔法使い「『雷』は闇を切り裂く光。嵐の次の日は、必ず晴れる。……『雷』は、号令。
『明日は絶対に晴れる』って、あたしたちに教えてくれてるのよ」
魔界騎士は、宣誓の通りに、微動だにしない。
挑む者を跳ね除け、挑む者にだけ剣を振り下ろす。
孤高にして独、魔界最後の『闘技者』の威容を、その身に湛えていた。
魔法使い「あいつはね、約束してくれたの。空を見せてくれるって。だから、あんたと戦ってやる。
……あいつがくれた青空を、バカみたいにまっすぐ見上げるためにっ!」
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