過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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40: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:32:33.21 ID:4RdAMvYao
爆炎が過ぎ去り、解けゆく鋼鉄の外殻の中で戦士は見た。
舞い散った煙の中に佇む魔の闘技者を。

火球の連発によって、甲冑は点々と炭化して。
反して絶対零度の呪文はその手足を凍らせ、動きを奪って。
盾は深々と斬り込まれ、奇妙な事に、盾の断面から鮮血が滴り落ちていた。
それでも剣は、捨てていない。
闘う意思を――――立ち向かう意思を、捨てていない。

立ち姿は、相も変わらぬ盾の構え。
隊伍を組みて半身を守ってくれる『仲間』など、もう彼には存在しない。
それでも譲れぬモノがあるかのように、たった一人きりの戦列を保ったまま、頑迷なまでに立ち塞がる。

魔法使い「どきなって言ってんのよっ! あんたの死にたがりになんて、付き合ってらんないんだよ!」

極限まで補充した魔力を尽かせて、魔法使いの呼吸は荒い。
極大火球呪文、絶対零度呪文の連続詠唱は、堪えた。
心臓は早鐘のように脈打って、肋骨という扉を、内側から激しく叩いていた。

魔界騎士「貴様らの力は、そんなものか。何度でも、何度でも言おう。……『ここは――――』」

背を飾る不揃いの翼が、逆立つ獣毛のようにピンと伸びる。
右背の四枚、左背の一枚は――――大きく開いた、拒絶を突きつける掌を連想させた。

魔界騎士「『ここは、通さん』っっ!」


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