過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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41: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:33:07.70 ID:4RdAMvYao
魔法使いは、解き放つ。
最後の決戦の為に何が何でも温存するはずだった、奥の手の、更に奥の手を。

魔力はもう、残ってなどいない、使い果たした。
『エルフ族の薬』の予備も、無い。
だが――――魔力を回復する方法は、一つだけある。
魔を研鑽するさなかでようやく到達した、無限の魔力をその身に宿して、
ありとあらゆる呪文を魔力を失わずに唱え続けられる『奇跡』の秘術。

杖に宿した魔力が、吼え猛る。
彼女の体を包む光の柱が、無限の魔力をもたらした。
それを意識する間隙さえなく、『呪文』を発動する。

最初に連発した火球が虚しく小さく思えるほどの、太陽にも似た獄炎弾。
――――単発でも連発でもなく、『同時』に十数発。
それらは魔界騎士を取り巻き、その甲冑を炎の舌が嘗め上げ、炭化させてゆく。
押し寄せる熱波が三人を襲うが、それは、決して問題にはならない。

魔法使いの後ろには、僧侶の唄が聴こえた。
絶え間ない詠唱は霊歌となって、三人の肉体を――――超高速で回復させ続ける。
それは、『無敵』の回復呪文だ。

魔界騎士「う、ぬっ……! オォォォォァァッ!」

容赦ない獄炎の中、戦士は魔界騎士と切り結ぶ。
炎の中で更に灼けつくような『焔』をまとった剣は幾度も、幾度も漆黒の盾を叩く。
かすめるだけでも魔界騎士の盾は溶け落ちて、段々と、その形は失われてゆく。
戦士の甲冑には、呪文の炎が燃え移り、もはやどこまでが甲冑でどこからが炎なのかさえ知れない。
炎の中で空気を吸い込み、焼けた気道を瞬間に再生させながら、炎混じりの吐息をつく。
灼熱の劫火そのものと化した戦士が魔界騎士の『防御』を焼き尽くす。
そして。

遂に捉えた『会心の一撃』が――――不破の盾を、左手ごと斬って捨てた。


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