過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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43: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/23(木) 00:34:47.97 ID:4RdAMvYao
魔界騎士の漆黒の長剣は、柄手までも砕け散った。
剣と盾を失い、残りは鎧の五体のみ。

魔界騎士「ぐぅっ……! だが、まだ……!」

戦士の剣は、魔界騎士の横腹を捉えて食い込んでいた。
剣に漲った闘気が鋸引くように魔界騎士の身体を削り落とし、黒き破片は空中で蒼炎と化し、
夜空に舞う流星群のように、呆気なく燃え尽きていく。
だが、まだ……一押しが足りない。

戦士「ここからなら――――絶対に外さんぞッ!」

叫びとともに、身体が、深く沈み込む。
発動された技は『一撃』に全てを懸ける、魔神の斬撃、『当たれば』必殺の剣。
本来は当てる事さえも難しいが、今、なら。

――――『会心』が、『絶対に』当たる。

戦士「うおおおおぉぉぉぉぉぉっ――――――!!」

絶対命中の刹那に撃ち込まれた魔神の剣が、たやすく――――魔界騎士の身体を深く薙いだ。
『勝者』は『敗者』を置いて、勢いのままに剣を振り切った姿勢で滑り込む。
直後、輝きを終えた蝋燭のように――――炎の海が消えて失せた。

魔界騎士「ヒト、の……英…………、否」

一太刀の署名を加えられた『絵』は、その場に膝を折った。
ようやく、その手は柄の欠片しか残らない『剣』を放し、取り落とした。

魔界騎士「……『勇者達』……よ…………」

どこか満ち足りたような声色は、それ故に虚しくもある。
千年の重みを背負い、前のめりに崩れ落ちながら、最後に『勝者』を称えた。


魔界騎士「――――――美事、也」


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