過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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50: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/24(金) 00:25:17.03 ID:zNvxktpKo
『勇者と魔王の物語』がある。
世界のどこに行っても、細部は違えど同じ物語を描いた本があった。
だが、結末はみな同じだった。
すなわち――――『勇者』が、『魔王』を討滅する、あの栄光の勝利。
そしてそれを三人は、目の前で見る事ができた。

だが、魔王を打ち倒し、崩壊を始めた魔城から脱出しようという時、勇者は言った。
――――――「俺を置いて行け。三人だけでここから逃げろ」と。


どれだけの言葉を使っても、どれだけの涙を見せても、その心は変わらなかった。


彼は、知っていたからだ。
世界を救えば、救った世界の線引きを巡って再び人界は荒れる。
手始めに勇者の故国は、隣の国へと仕掛ける。
その先陣に、世界を救った『最強の人類』を加えて。

世界に、居場所は無かった。
故郷へ帰れば噂が立つ。
どこかで穏やかに暮らすにも、世界の全てを回ってしまった。
だから、もはや『勇者』を知らない者など、世界のどこにもいない。
一目でも見られてしまえば、そこから噂は千里を駆けて、どこかの誰かの耳へ届く。

存在を賭けて救った世界へ、剣を向けたくなどなかったから。
身を寄せ合い『雷』に怯える人々の顔を、見たくなどなかったから。

――――『雷』は、『雨雲』と運命を共にすると、そう決めてしまった。


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