過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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◆1UOAiS.xYWtC
[saga]
2013/05/24(金) 00:27:28.23 ID:zNvxktpKo
僧侶「諦めてはいけません」
力強さを秘めた呟きが、今なお轟音とともに崩壊を続ける魔王城に、はっきりと響いた。
僧侶「諦めてはいけません。……私たちは、生きなければならないのですから」
魔法使い「……あはは、そうだったわねぇ。よく覚えてたじゃん、偉い偉い」
憎まれ口を叩くも、その表情に嘲りの色は無い。
ただ――ただ、強気な微笑みだけが浮かんでいた。
戦士「……ああ、そうさ。こんな所で……死ねるものか」
僧侶に呼応するように、緩みかけた利き手を締め直し、剣を握り締める。
眼前を埋め尽くす魔物に対し、人界最強の、「勇者」はいない。
彼と肩を並べた三人の英雄が、満身創痍のまま闘志を再び燃やすのみ。
じりじりと距離を詰めてくる数十の甲冑達が、ふと歩みを止めた。
それとほぼ同時に魔王城の震動がピタリと止んだ。
甲冑の魔物も、銀毛の魔物も、単眼の巨人も、動く様子が無い。
燭台が倒れる音にも動じず、祈るように、頭を垂れていた。
魔法使い「何なのよ?」
僧侶「え……?」
戦士「……恐れをなした、という訳ではないだろうな」
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