過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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60: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/24(金) 00:32:42.85 ID:zNvxktpKo
地面に直に座り、帽子を深くかぶり直す。
夜露で湿った草が尻を湿らせ、不快だった。
しかしそのまま、膝を抱え込むような姿勢で火を見つめた。

朝が来れば、転移の呪文で最寄りの村へ飛ぶ。
そこでもう一晩泊まり、身体を休めてから勇者の故国へ帰る。
恐らくはその手はずだ。

僧侶「……『魔法』を極めるというのはどうです?」

いくつも前の質問に、彼女は遅れて答えてくれた。

魔法使い「『物語』が終わってから鍛えたって、虚しいだけじゃない。時間の無駄よ、無駄」

僧侶「この一行に加わる前は、何を?」

魔法使い「んー? 呪文学んで、錬金術店にいた事もあるし、モンスター退治も。……まぁ、何でもやってたわ」

目標など何もない、軽佻浮薄な人生だった。
『魔法』の天性を備えて生まれてきて、物心ついた頃には初級の呪文が使えた。
開錠の呪文でいたずらをした事もあるし、火の呪文でボヤを出した事もある。
成長すれば、なりを潜めはしたが……それでも、根本は変わらなかった。

錬金術を学んで、冒険者ギルドに登録して仕事を請け負い、盗賊を退治して。
奔放な身一つの生き方をしていたある日、酒場で、僧侶を連れた勇者と出会った。

女将に聞けば、『魔王』を倒しに行く旅の途中で、仲間を集めているのだという。
最初こそ笑い飛ばしたが、興味が出てきて――――ほんの一時、近場のダンジョンの探索に同行した。

それが、きっかけで――――気付けば、『世界を救う旅』に加わってしまっていた。



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