過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
1- 20
68: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/25(土) 02:22:48.48 ID:QKtUJVFRo
*

その日、英雄達は王都へ凱旋した。
通りに立ち並ぶ家々からは国民がその姿を一目見ようと、大人子供の別なく顔を出した。
『魔王』を討伐した四人の英雄は、どんなに誇らしく胸を張っているのかと思い描き、
しかし期待と憧憬を孕んだ瞳たちは、ことごとく訝しげに光を失っていった。
『戦士』『魔法使い』『僧侶』の三人の姿は、国民を絶句させるばかりのものだった。

「……おい」

道の脇に立っていた衛兵の一人が、傍らにいた同僚にささやいた。
ヘルムの中で眉をひそめ、確かめるように。

「本当に、『魔王』を倒したんだよな?」

「ああ。そのはずだが……?」

「……勇者様がいないのは、どうしてだ?」

「さぁな。それより…………何だ。何なんだ、あれは」

「お前も思うか?」

「ああ。……いや。この場にいる全員が思っている筈だ」

「魔王討伐なんて前代未聞の偉業、英雄達の帰還。そのはずなのに……」

溜めをつくり、唾をのみ込み、それを表現する言葉を探し、覚悟をする。
そうしなければ、この様を比喩する事さえ、かなわなかった。


「まるでこんなの――――葬列じゃないか」


<<前のレス[*]次のレス[#]>>
228Res/202.93 KB
↑[8] 前[4] 次[6] 板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。




VIPサービス増築中!
携帯うpろだ|隙間うpろだ
Powered By VIPservice