過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sagesaga]
2013/05/22(水) 00:08:09.14 ID:GshVNNRdo
魔法使い「あ、そうだったわ。……ってかあいつら、もう食べてない!?」

僧侶「えっ?」

煮炊きの香りと木々のざわめく音に紛れて、男二人の談笑が聴こえる。
聞き慣れた、調理鍋をかき混ぜ、掬い取る音まで聴こえた。
恐らく、今の動作音は――――勇者のものだろう。
音が少しだけ、控え目だった。

魔法使い「ちょっとぉ! 何、先に食ってんのよ! ありえないでしょ!?」

ずかずかと引き返していく魔法使いに、僧侶は密かに安堵しながら追従する。
魔法使いの調子が、戻った事に。
そして――――こんな『魔王』を前にした晩餐も、いつもと変わりはしないのだと。
ざわめきが、すっかり取れてしまった。

決戦前夜の非日常の中だからこそ、そんな一コマの『日常』が、潤いをくれる。
『日常』が、力をくれる。

僧侶「……勝てます。絶対に」

心に沁み込ませるように、静かに口にする。
その言霊は、魂の震えに楔を打ってくれた。

二人は野営に戻り、先の男二人と合流してささやかな夕食へありつく。
塩気のほとんどないクズ野菜のスープに、硬く締まった干し肉、固くて水気の無いパン。
そんな、貧しくて笑えそうなほどの夕食が――――とても、美味しく感じた。


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