過去ログ - 魔法使い「勇者がどうして『雷』を使えるか、知ってる?」
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84: ◆1UOAiS.xYWtC[saga]
2013/05/26(日) 02:26:19.39 ID:UMPAG6Zoo
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パーティを解散する日が、やってきた。
時は、決戦から二週間。
『魔王のいない世界』が、当たり前になり始めた――――そんな、時の事だ。
王国、その城下の広場に、三人の姿がある。

僧侶「それでは。……皆様には、お世話になりました」

まず最初に、僧侶が。
彼女は修道院に戻り、再び、聖職者としての、『冒険』では無い道を歩む。
そちらの方が、彼女には似合っているはずだ。

戦士「いや。世話になったのは俺達だ。……お前には、何度助けられたか分からない」

魔法使い「そうよ。あんたがいなかったら……いや、一人でも欠けたら、魔王は倒せなかった」

僧侶「……長い旅でした。ですが……これは、永遠の別れではありません。いつでも、院に来て下さいね」

僧侶は身一つ、持ち物は十字をあしらった杖が一本だけ。
勇者と初めて会った時の服装だ。
修道院は王都から馬車で数時間の距離にある。
いつでも会おうと思えば会いに行けるし、きっと、そうする。
だが、三人とも感じていた。
会えはしても、二度と、その運命が交差する時は来ないのだと。

何本もの流れはやがて一本の大河となり、大海原へと続く。
今度は、その逆だ。
一本に重なった大河は、逆戻りして――――ふたたび三つの、別々のささやかな流れに戻る。


旅が終わるというのは、そういうことなのだ。


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