過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」
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10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/24(金) 17:11:20.21 ID:raX+wY0oo
24時間営業の店以外は閉店し、街灯が薄暗く辺りを照らす中、自転車を押す彼と連れ立って駅に向かう。

恵美「さっきの子、可愛かったですね。彼女さんですか?」

真奥「違う違う、単にバイトの後輩だよ」

恵美「その割にはアダ名で呼んで親しげでしたけど」

真奥「ありゃうちの店の、まあ慣習なんだよ。店長が認めた人はアダ名で呼ぶの」

よし。……ってよしじゃない。
どうもまだフワフワと浮いているような気分だ。
と、気づいた。まだ私は名乗ってもいない。

恵美「ごめんなさい、そういえば名前まだ言ってませんでしたね。遊佐恵美といいます」

真奥「ああ、こりゃどうも。改めて、真奥貞夫です」

恵美「貞夫……」

真奥「今時の名前じゃねえってよくからかわれるけどね」

恵美「そんなことありませんよ。いい名前じゃないですか」

本心だった。確かに今時の響きではないが、純朴そうな彼には合っているように思えた。

恵美「……あの、名前で呼んでもいいですか?」

真奥「ん?」

恵美「真奥って苗字、知り合いにもいて。それがすっごく嫌なやつで、思い出しちゃうんです」

これは半分本当。何が悲しくてこんな良い人を、あの邪悪な魔王の名で呼ばなければならないのか。
もう半分は、……まあ、なんでもいいじゃない。

真奥「はは、いいよ。じゃあこっちも名前で呼んでいいかな」

恵美「もちろんいいですよ、貞夫さん」

と平然と答えながら心中でガッツポーズを取る。


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