過去ログ - 恵美「もしも魔王の正体に気づかなかったら」
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4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/05/24(金) 17:07:30.64 ID:raX+wY0oo
梨香「恵美、なんか良い事あった?」

仕事――電話会社のテレアポの業務をこなしていると、
手の空いた間に隣の席からそんな声が掛ってきた。
同僚にして、目下一番の友人である梨香だ。

恵美「え? なんで?」

梨香「や、なんかテンション高いっていうか、浮かれてるっていうか」

そんな風に見えたのだろうか。
自分ではいつもどおり、きちんと仕事をしているつもりだったのだが。

梨香「もしかして男でもできたぁ?」

にやりと笑いながら言ってくる。
梨香はその手の話題で人をからかうことが多く、
いい加減慣れている私はそんなのじゃないと流すべく口を開いたが、

恵美「そ、そういうわけじゃ……いや、男性ではあるけど……!」

口ごもって訳の分からないことを宣ってしまった。何故だ。
彼女の言うとおり、自分の思っている以上に浮かれているのだろうか?

梨香「……あれ、マジで? 本当に男?」

単なる冗談のつもりだった梨香が、こちらの返答にきょとんとした顔を見せた。
余計な突っ込みを受ける前に必要最低限の説明をする。

恵美「大したことじゃなくてね、今日傘を忘れちゃって、困ってたら傘貸してくれた親切な人がいたの」

恵美「それを今夜、彼の職場に返しに行くだけ。本当にそれだけ。それで終わりよ」

まくし立てると、梨香が感心したように言う。

梨香「へぇー、良い人もいるもんだ」

良かった、ただのいい話で終わった。そう安堵していると、

梨香「でも気をつけてよ恵美、男慣れしてないんだから」

梨香「夜、会うんでしょ? そのまま帰してもらえないなんてことにならないようにね〜」

恵美「……それはどうもご心配ありがとう」

口の減らない友人に、仏頂面で返すのが精一杯だった。


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