過去ログ - 「俺、眼鏡って似合わないんだよなー」
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5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/05/25(土) 23:11:12.71 ID:PtVx1/VJO
疾うの昔から知っていたことを、今さら問い掛ける必要はなかったのだけれど。

そのことを深く胸に刻み込むことで、私は私の想いを少しだけ癒してあげることができた。


薄暗い夜道に眩しい明かりが騒がしい音を立てて通り過ぎる。

途切れ途切れの明かりは、置き去りにされた雪だるまのような私の影を浮き彫りにした。


「俺、結婚するんだ」


そして遠ざかっていく音は、振りかざされた氷柱のような彼の言葉を……かき消してはくれなかった。


足音が止まる。

その後に二回だけ、雪がゆっくりと軋む音がした。


顔半分が真っ黒のマフラーで覆われていて、彼が彼であると証明してくれるのは、薄い一重瞼と私を見つめる大きな黒目だけだ。 


私は雪に足を沈めたまま、使い古して毛玉だらけになった白いマフラーを、鼻のところまでぐいっとあげる。


もう何度目かも分からない。

吐息を、こぼした。


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