過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』
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109:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:13:03.43 ID:im91ow/t0
 私は観念して、出掛ける準備を始めました。

 最近はのあさんに感化されてか、SFを読み漁っていました。

 しかし、こんな気持ちの良い陽光の下で読むなら別のものが良いでしょう。
以下略



110: CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:16:41.89 ID:im91ow/t0
 あれこれ考えていると、ふと卓上に積まれてたオレンジとブルーの表紙の本が二冊、視界の隅に飛び込んできます。

 ...これだ。

 そう直感し、それらとヘミングウェイなど数冊を掴んで鞄へ詰め込みました。
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111:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:19:02.71 ID:im91ow/t0

 寮から歩いて15分程の所に、大きな運動公園があります。

 ここの広場には一面芝生が敷き詰められ、四方に目をやると、大小様々な樹木の壁。

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112:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:21:57.43 ID:im91ow/t0
 部屋でピンと来た二冊は、共にユーモアミステリ作家のカール・ハイアセンの著作。

 私はオレンジ色の表紙『フラッシュ』を手に取り、ページを捲り始めました。


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113:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:24:27.68 ID:im91ow/t0

 ...どれ位の時間が過ぎたのでしょうか。

 残り50ページにも満たないあたりでふと足元にコツン、と何かが当たる感触。

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114:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:26:14.33 ID:im91ow/t0
「あー、わりぃわりぃ」

とこちらに向かってきたのは、勿論死んだはずのボビーじいちゃんでなく...晴ちゃんでした。


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115:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:29:01.54 ID:im91ow/t0
「ってあれ、文香さんじゃん。何してんの?」

 そう聞く晴ちゃんに答えると、ふいに私の手元の本に目をやり、

「ふぅん。ちょっと見せてよ、それ」
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116:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:30:45.77 ID:im91ow/t0
 彼女は本を手渡されて表紙を見ると、

「色はカッコいいけど...この魚はなんかマヌケだな」

と辛辣な一言。
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117:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:33:52.22 ID:im91ow/t0
 しかし、物語の冒頭に目を通し始めた途端...

「あっはははっ、何コレ!?。しょっぱなからオヤジ捕まってんじゃん!!。おっかしー!!」

 と、どうやらお気に召したようです。
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118:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:39:19.15 ID:im91ow/t0
 程無く晴ちゃんは私の隣に座り込み、物語にのめり込み始めました。


 あの晴ちゃんが本に熱中している。

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119:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/06/05(水) 19:43:17.85 ID:im91ow/t0

 夕暮れ時、二人帰路に着きました。黄昏の中、晴ちゃんは遠くを見つめながら、

「ノアはさー、あんな破天荒なオヤジの事をどうして好きでいつづけられるんだろうなぁ」

以下略



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