過去ログ - 鷺沢文香エッセイ集『本とアイドルと私』
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218:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:12:57.18 ID:w4dUq9e30


 アァ、なんと嘆かわしい事であろうか! 少女はたった一夜にして、その華麗な姿から、見るもおぞましい毒虫に変身してしまったのだ。


以下略



219:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:15:12.21 ID:w4dUq9e30

 ...茫然自失。暫し何も考えられなかったが、ハッとした瞬間、彼女の頭はこの惨状を察するべく、矢継ぎ早に働き始めた。

 無論、正常たる思考力と、判断力を兼ね備える彼女にとって、これらは受け容れられぬ事実であり、理解することなど到底不可能であった。

以下略



220:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:18:29.28 ID:w4dUq9e30

 混乱の坩堝にはまった少女は、頻りに自問自答を繰り返すが、一向に答えが出る気配は無く、ただ時間だけが刻々と過ぎてゆく。



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221:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:20:17.71 ID:w4dUq9e30

 突然の事に驚き、びくつき、慌てふためく。いけない、いけない。こんな格好、隣人は疎か、他の誰にも見せられたものじゃない。きっとすべてを失ってしまう。何とか、何とかしなければ...。


 しかし、扉を挟んだ向こう側に佇む隣人が、この珍事に気付く事など当然あり得ぬ事で、 精々何も反応を見せない彼女を訝しむくらいのものであった。
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222:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:22:27.36 ID:w4dUq9e30

 もう一度、しかし先程よりも強く、ドアをノックする。...やはり無反応。益々怪しい。痺れを切らした隣人はドアノブに手を掛け、

「お邪魔するよ!」

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223:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:24:16.03 ID:w4dUq9e30

 ...もう、だめだ。打つ手立てなどまるで無い。ウチのアイドル生活もこれで終わってしまうのか...。


 そうしていよいよ、廊下と寝室を隔てる襖が勢いよく開かれた瞬間.....!
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224:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:26:07.22 ID:w4dUq9e30


 ...目が醒めたそうです。

 時刻は深夜0時を少し過ぎた頃。蛍光灯が書架の端に暗がりを作り出す中、かの少女...美玲ちゃんは嗚咽混じりの掠れた声で、先程まで魘されていたという悪夢を語り聞かせてくれました。
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225:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:28:31.04 ID:w4dUq9e30

「...大丈夫?」

 キッチンから戻ってきた寝間着姿の響子ちゃんがその様子を案じながら、カフェオレが注がれたカップを彼女の面前に差し出します。

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226:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:31:11.31 ID:w4dUq9e30

 甘めに仕立てられたカフェオレの効能でしょうか。 幾分か落ち着きを取り戻すと、後ろから覆い被さるように抱き着く友紀さんにようやく気が回ったのか、体を捩りながら、何とも弱々しい威嚇をしだしました。

「ちょっと...いい加減離れろよぅ...。ひ、引っ掻くぞ!」

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227:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:38:56.02 ID:w4dUq9e30

 そうしているうちにふと、隣に座っていた響子ちゃんが何気なしに、

「でも、一体何が原因だったんでしょうねぇ。...文香さん、何か知ってますか?」

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228:CG出版編集部 ◆rSMipP4xr.[saga]
2013/07/15(月) 01:41:20.89 ID:w4dUq9e30


 ...ここ最近、事務所の小中学生の間ではホラーや怪談ものが流行っているようで、本を探し求めて連日私の部屋に詰め掛けて来ました。

 美玲ちゃんも多分に漏れず、昨日の夕方にやって来たのですが、元々そのような類の本が充実していない書架ですので、その殆どを既に貸し出し、虫食い状態となっている具合でした。
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