過去ログ - 台風がとどまり続ける市を舞台にシェアワやろうぜ
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60:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/09(日) 19:09:13.33 ID:plR7JjR6o

 馬鹿らしい状況だ、というのが彼の感想だった。
 それは様々な事柄をひっくるめた一連の状況に対するものだが、目下一番馬鹿らしいものは視線の先の光景だ。
 女性が洗濯物を干している。彼の住むやたら広い家の無駄に広い庭で。
 馬鹿らしい、というくらいだから当然家族ではない。恋人でも無ければ、友人でも、知人ですら無い。
 一言で言うなら『ご近所さん』である。
 より正確に説明すると、『何度かすれ違った事はあれど名前も知らない顔も覚えていないご近所さん』である。
 馬鹿らしいと言う他ない、と彼は思う。

「ふー。すみません、終わりました」

「……いえ」

 晴れ晴れとした顔で洗濯物を干し終えた女性が室内へ戻ってくる。
 まあそんな表情にもなるだろう、と彼は彼女の奥の庭へと視線を戻した。
 元々物干し竿二本程度しかなかった庭には、彼女の持ち込んだ物品で物干しスペースが拡張されまくっている。
 そしてそこには一体何人家族なんだ、というくらいの数の衣類が干されまくっているのだ。
 洗剤のコマーシャルとか撮れそうな程度には壮観だった。

「しかし、随分な量ですね」

「はは……けっこう汗っかきなもので」

 そういう問題だろうか、と思ったが口には出さなかった。



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