過去ログ - 恵美「魔王と私の子供が可愛くて困る」 -SS速報VIP

過去ログ - 恵美「魔王と私の子供が可愛くて困る」

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1:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/28(火) 01:18:33.62 ID:8O+IpD8po
・はたらく魔王さま！　真奥×恵美と日常話

・原作三巻の登場キャラが出るためそちらを既読推奨

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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:19:25.57 ID:8O+IpD8po
夕方の幡ヶ谷を歩く女性がいた。
凛々しく整った容姿と腰まで伸びた長い髪。
初夏の陽気に滲む汗をハンカチで拭き取りながら、
やがて彼女は目的地――マグロナルド幡ヶ谷駅前店に
辿り着くと、自動ドアの前に立った。

3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:20:14.57 ID:8O+IpD8po
真奥「よう。悪い、待たせたか、恵美」

恵美「別に。今来たところよ」

店員「真奥さん、お疲れっす！　羨ましいなあ、迎えに来てくれる奥さん」

4:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:21:24.33 ID:8O+IpD8po
真奥「仕事、どうだ？　疲れたりしてないか？」

恵美「平気よ。梨香がよくしてくれるし、周りも理解があるから」

二人は幡ヶ谷の怒濤流（喫茶店である）で向かい合わせに座り、話し合っていた。

5:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:22:05.51 ID:8O+IpD8po
恵美「ネットで色々見てみたんだけど、どうもピンとこなくてね」

恵美「考えたんだけど、今度休みが合ったとき、あの子を連れて菱松屋でも行ってみない？」

真奥「欲しがったものを買うってことか。でもそういうの分かる年か？」

6:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:22:33.12 ID:8O+IpD8po
話が一段落し、お互い飲み物を啜って一息つく。
遠くを見るようにして真奥が言った。

真奥「……何だかなあ、平和だな」

7:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:23:18.78 ID:8O+IpD8po
二人が向かったのは、真奥が日本に来て以来住んでいるアパート、
ヴィラ・ローザ笹塚。笹塚としては安い家賃が取り柄で、
逆に言えば家賃なりの佇まいだった。有り体に言えばボロかった。
恵美が何度転げ落ちたか知れない錆びついた階段を慎重に登って、
真奥の住む201号室に入る。

8:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:24:01.88 ID:8O+IpD8po
芦屋「おや、もうお戻りになられていたのですね、魔王様」

芦屋四郎、本名アルシエル。真奥のエンテ・イスラ時代からの腹心。

千穂「こんばんはー！　途中で会ったから一緒に来ちゃいました。ねー」

9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:24:56.47 ID:8O+IpD8po
恵美「私も手伝うわよ」

鈴乃「いいから。皆で集まるときくらいゆっくりするといい」

集まった面子で料理ができるのは芦屋、鈴乃、千穂、そして恵美だが、

10:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:26:00.11 ID:8O+IpD8po
真奥「仮にあそこから名前変えても、アラス・ラムス自身が対応できなさそうだったしな」

恵美「髪の色がどう見ても日本人じゃないから、初見で変に思われても大抵納得されるしね」

言いながら恵美がアラス・ラムスの頭を撫でると、くすぐったそうに笑う。

11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:26:36.06 ID:8O+IpD8po
真奥「真美ももうすぐ一歳、アラス・ラムスも幼稚園、千穂ちゃんは大学生」

真奥「いやあ、時間の流れってのは早いもんだよなあ……」

千穂「えへへ」

12:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:27:32.30 ID:8O+IpD8po
千穂「忙しいって、お仕事の方は順調なんですか？」

芦屋「ええ、それはおかげさまで」

かつては真奥家の主夫として家事に勤しんでいた芦屋だったが、

13:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:28:09.21 ID:8O+IpD8po
鈴乃がため息をついて会話を継いだ。

鈴乃「正直、アルシエルには同情する。こいつときたら本当に何もする気がないのだからな」

鈴乃「たまにアルシエルが遅くなる日など、うちに来て夕食をねだる始末で……」

14:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:28:49.70 ID:8O+IpD8po
日本に来た当初は、エンテ・イスラから持ち込んだ宝石類を換金し
手に入れた金で働かず生活するという、遺憾ながら漆原の言うとおり
ニートと言われれば反論が難しい立場であったが、
数年経った今ではその金ももうほとんど残っていなかった
（そもそも何年も日本にいるつもりではなかった、という言い分があるが）。

15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:29:25.75 ID:8O+IpD8po
恵美「……何よ」

真奥「えーとだな、皆にも知っといてほしいんだが」

真奥「これまでずっとバイトとして頑張ってきたわけだけど……」

16:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:29:56.39 ID:8O+IpD8po
真奥「あー、それでだな、こっからが本題なんだが」

真奥「恵美」

恵美「ん？」

17:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:30:30.10 ID:8O+IpD8po
恵美は、何も言えなかった。

真奥と今の関係に至るまで、色々なことがあった。
その中で彼女は真奥を愛した。
真奥も彼女を愛した。そのことに今更疑いはない。

18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:31:06.20 ID:8O+IpD8po
芦屋「ふむ、ならば経費を抑える意味も含めて、我々で準備を整えるというのはどうでしょう」

芦屋「早速式用の料理を調べなければ。おい漆原、貴様も今回ばかりは働いてもらうぞ」

芦屋「二人の思い出の動画作成、BGM選定、飾り付け、受付、余興、すべて貴様の担当だ」

19:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:31:46.36 ID:8O+IpD8po
場がお開きとなり、深夜。
201号室には三枚の布団が並べて敷かれていた。
危なくないよう、少し離れた位置に敷いた乳児用布団では真美が、
そして三枚の布団の真ん中では騒ぎ疲れたアラス・ラムスが既に寝息を立てていた。
就寝の準備を済ませた真奥と恵美も、二人を起こさないよう布団に潜り込む。

20:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:32:53.63 ID:8O+IpD8po
恵美が真奥の頬に手を伸ばす。
彼の顔つきは昔と変わっただろうか？
少なくとも、人間真奥貞夫と始めて会ったときから目に見える変化はないように思う。
それが単に若さを保っているだけなのか、それとも――
彼の寿命は人間の身体となっても、悪魔としてのそれなのか、まだ分からない。

21:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2013/05/28(火) 01:34:14.72 ID:8O+IpD8po
ギャルゲー風に言うと恵美ルートグッドエンド妄想版です。
アラス・ラムス関連はなんだか色々上手くいったんだと思って下さい。
もしアニメから入った原作未読の方でアラス・ラムスが気になった方（子育ては本当にするよ！）、
原作恵美の9.9のツンの中の0.1のデレが見たい方がいたら原作をどうぞ（ステマ）

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