過去ログ - むりやり小説ゲーム 二番館
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37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/29(水) 00:35:12.67 ID:N9GLiyoho
信じられないと息を呑んだ。だが、コレも現実なのかと受け容れるべきなのか、或いは……。
いや、やはり俺が男に戻れないのににわかに信じられん。その事を幽霊に告げると、彼女はこんな事を言う。

「……本当に、男に戻りたいのですか?」

「……何だと?」

「貴女は、昔から本当は心底女の子に産まれたかったと、思ったことはありませんか? いいえ、思っていたのではないですか?」

「そんな事、思って……なんて……」

「子供の頃、まだ貴女が男の中の男を目指そうとしていなかった頃、貴女は……私に言った筈です。
 貴女は……女の子の方が良かった、女の子に産まれたかった、と……!」

「俺が、お前に言った……!? そんなの、俺は覚えてなんて……」

「覚えていないでしょう。だって……幼稚園の頃でしたから」

彼女はどこか遠くを見つめるような眼差しで俺を見た。分かる筈が無かった。それは、すっかり記憶を封印し、片隅に追い遣り、
そして忘却したものだと思い込んだはずなのに、今となっては勝手に思い浮かべられ、そして勝手に風景が描き出されていく。

あーちゃん、それは鳴が勝手に名づけたあだ名。では俺は彼女を、あっちゃんと呼んでいたはずだ。
片桐愛莉、それが彼女の名前。では何故幽霊と化してしまったのか。そして、彼女は幽霊となって……ずっと俺の傍に居た?

「……いつ、死んだんだ」

「貴女とお別れしてから、直ぐです。……交通事故だなんて、ありきたりでしょう?」

「だとすると、小学生に上がってから……? それから、もしかしてずっと……」

「見てました。……女装するひびくんだって見てきたし、お人形遊びするひびくんも見てました。
 でも、次第に貴女は変わっていった……。お母さんに認められたいが為に、貴女は無理をして男になろうとした……」

「無理なんて、していない……ッ!!」

それよりもぞっとするのは、ずっと俺の傍に居たという事だ。
子供の頃に無くなった彼女は、俺に、そして周囲を眺め、そして成長すればこうなるのでは、と己を変えていっていたのである。
そんな彼女は、今俺に言っている。実は女の子で居たかったのではないかと。だからこそ、男に戻れないだけなのだと。

そんな風に幽霊となった昔の馴染みに言われ、俺は……>>38


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