過去ログ - 【安価】エレン「オレが最強の兵士に?」アルミン「家族になりたい」3【育成】
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949:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/30(木) 05:40:07.88 ID:+HT0fDRq0
龍輝は口を噤み、視線を下に向けた。
恒祐が既にこの世にいないということを思い出したのだろう。
冗談ではないか、ドッキリではないかと思っていても、顕昌や圭の亡骸を目撃してしまっている以上はプログラムが本当に進行しているということを頭の中のどこかで認識しているのだ、華那も、龍輝たちも。

「…実際さ、どうなんだろうな。
 プログラムに乗るヤツがこのクラスにいるってことが信じられないんだけど」

龍輝が先程までガンプラを作成していたとは思えないような真剣な面持ちで呟いた(しかしその手にはガンプラが握られている。緊張感が台無しだ)。
真子と悠希の表情も曇る。

「…なんか想像できないね、みんなが銃撃ったりしてるのとか…」

悠希が溜息混じりで呟いた。

「なー、優人とか逃げる姿は想像できても追う姿は想像できねーし。
 たっくんもこんなの絶対嫌がってるだろうしな。
 迅とヒデなんて俺らのオトンとオカンみたいなモンだからな、できるわけねーよ!
 あーあ…会いたいな、また馬鹿みたいなことで騒ぎたいなぁ」

龍輝が指折り親しい友人の名前を述べていった。
龍輝たちの知らない所で、春川英隆と望月卓也(男子十七番)の属する第10班が相葉優人(男子一番)のいる第1班と迅のいる第2班を襲ったということなど、当然龍輝たちは知る由もない。

「真子も想像できないなぁ…
 邑子とか南海とか葉瑠とかは明るい子だし。
 未久はすっごい優しいし…遼子はキツいところもあるけど根は良い子だもん。
 プログラムなんてありえないこと、できるわけないよ…」

真子は友人たちの名前を出して様々な楽しかった思い出を想起したのか、徐々に涙声になり、最後には俯いてしまった。

龍輝たちのグループも真子のグループも、共にクラスの中心になって盛り上がっている集団だっただけにその結束力は強く、信頼は揺らがないのだろう。
しかし、プログラムは既に進行しており、7人のクラスメイトが還らぬ人となった。
全員が自殺でもしない限りは加害者が存在し、その加害者になりうる人間はクラスメイト以外にはいないのだ。
命を奪いあうという実感は湧かなくとも、華那はそれくらいは理解している。

華那は人よりワンテンポ遅れているのんびり屋と周りから言われることが多いが、その印象に反して幼い頃から頭の良い子だった。
それは学校の勉強が得意だとか試験に強いだとかそういう物差しで測るレベルに留まらない(もちろん、勉強もそこそこできる。もっとも、成績優秀な生徒の多い帝東学院においてはあまりぱっとした成績ではないのだが)。
様々なことに対して思慮深く先見の明があるのだが、それを言葉として発する技術が乏しいので、結局周りの華那に対する評価は“意外と頭は良いけどぼーっとしてる子”というものに落ち着くのだ。

「…い、おーい、華那、聞いてるか?」

龍輝に名前を呼ばれ、華那は我に返って龍輝に視線を向けた。
生まれつきの寝ぼけたような垂れ目を見て、龍輝はははっと笑った。

「華那起きてるかー?」

「起きてるよー、考え事してただけー」

「考え事って…千世とか室町とか鷹城のこと?
 心配だよな、特に千世と室町…班のヤツが…雄大と圭が…呼ばれたんだ。
 怪我とか、してなきゃいいよな」

龍輝は気遣わしげにそう言うと、華那の色素の薄い天然パーマの頭を優しく撫でた。
いくら昔からの縁があるからとはいえ、年頃の男の子が彼女でもない女の子にするような行為ではないと思うのだが、気遣ってくれてのことだから文句は言わない。

龍輝の言う通り、華那とペースが似ているのんびり屋の荻野千世(女子三番)と同じ班の宍貝雄大(男子八番)と、非常に大人しく内気な室町古都美(女子十八番)と同じ班の圭が名前を呼ばれていることは気に掛かる。
華那が言える立場ではないのだが、2人共鈍くさいところがあるので、怪我などしていなければ良いのだが。

「それに鷹城のことも心配だろ?俺あんま喋ったことないけどさ、大人しい感じだし…」
「…うーん……まあ……」

華那は言葉を濁した。
その反応が予想とは違うものだったからか、龍輝が怪訝な表情を浮かべ、悠希と真子も顔を見合わせて首を傾げていた。


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