過去ログ - 【安価】エレン「オレが最強の兵士に?」アルミン「家族になりたい」3【育成】
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965:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/30(木) 05:52:49.43 ID:+HT0fDRq0
綺麗な髪も、部活動で少し日に焼けた端正な作りの顔も、耳に光る青いピアスも、1番上のボタンだけを外したカッターシャツも、少しだけ緩めた赤いネクタイも、ベージュのベストも、全てが真っ赤に染まっていた。
プログラム中に眉毛をいじる程に容姿を気にしている悠希には我慢ならない汚れ方をしているが、悠希はもう何も言わなかった。
悠希はうっすらと目を開けていたのだけれども、その目には、何も映っていなかった。

「雨宮くん…雨宮くんッ!!
 いやああああああぁぁぁっぁぁあっ!!!」

何度も助けてくれて、何度足を引っ張っても護り続けてくれた悠希が、死んだ。
『山本さんのことは護るからね』と言ったその言葉を最期の最後まで貫いて。
『逃げて』と言われたけれど、動けるはずがなかった。
魂が抜け落ちたとしても、普段関わりがほとんどなかったはずの自分のことを正真正銘命懸けで護ってくれた悠希を捨て置くだなんて、できなかった。
真子は自分の顔や服が紅く汚れるのも気に留めず、悠希に縋って泣いた。
これまでに感じたことのない程の悲しみと罪悪感が、真子を襲っていた。



その様子を、龍輝は目の当たりにしていた。
季莉の鎌が振り下ろされる刹那、悠希は真子を手離して振り返り、季莉の攻撃を受け止めようと手を伸ばしたがそれは叶わず、鎌の刃が悠希の首に突き刺さった。
鮮血を撒き散らし、悠希は倒れた。
親友の死を目の当たりにしたのは、田中顕昌(男子十一番)に続いて2人目だ。

「悠希…ッ!!」

今まで悠希が「俺ってイケメンだよね」というような趣旨の発言をする度にからかったり茶化したりしてきたが、今は土下座して謝りたい。
『護るからね』と言った女の子(しかも彼女でも、普段親しかったわけでもない、ただのクラスメイトだ)を本当に護って命を落とすだなんて、並のヤツには絶対できっこない――正真正銘イケメンだよ、悠希。

「くそ…くそっ、くそぉッ!!
 何なんだよお前ら、意味わかんねぇよ、この、人殺しッ!!!
 華那と悠希がテメェらに何したよッ!!?」

龍輝は精一杯の力で賢吾の刃をデイパックで払うと、右手の拳をぐっと握り締め、賢吾の左頬を殴りつけた。
普段殴り合いの喧嘩などしたことがなかったが、龍輝の拳は良い角度で賢吾の頬に入り、賢吾は横向きに吹っ飛び倒れた。
これまでに感じたことのないどす黒い憎悪が身体の中を渦巻いているのがわかったが、今はその感情に流されまいと必死に耐え、真子に駆け寄った。


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