18:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/03(月) 02:50:10.59 ID:YCXt54HD0
暦的には夏が終わって、けれども暑さはまだ続いてる。
そんな今日は9月6日、まゆの16歳の誕生日。
結婚できる歳になったけれど、まだそれは長い道になりそう。
いつも通り、朝早く事務所に着いて彼に弁当を渡す。
まゆの誕生日だから何か言ってくれるかな、なんて期待して――
「今日もありがとう、まゆちゃん」
返ってくる反応はいつも通り。……誕生日、気づかれてないのかな。
普段はそれだけで満足だけれど、今日はなんだか物足りない。
他の子が来るとその子と仕事だったのか、流れるように一緒に出てしまった。
……ちょっと、拗ねちゃいたい気分。
事務所のみんなからおめでとうと言われて、今日は嬉し恥ずかし、そんな感じ。
だけど、あの人からは何も言われてない。
嬉しいのは確かなんだけどそれが足りないから、やっぱり満足できない。
今日は本当にあっという間に日が暮れて。気づいたときにはもう彼も仕事の終わりの時間。
たぶん、彼は残業だろう。
「今日も美味しかった、ありがとう」
弁当を返してもらって、またいつもの返事。
本当に気づいてないんだろうか。プレゼントなんていいから、ただ彼に祝って欲しいだけなのに。
わざとらしく拗ねた振りでもしてみようか。
まゆらしくないことでもしようと思ったら彼が口を開いた。
お祝いの言葉なんだろうか、そんな予想をする。
「……まゆちゃん、ちょっといい?」
「何ですか?」
「今日の夜、時間って空いてるかな」
予想よりももっと斜め上。彼からの誘いの言葉。つまり……どういうことなんだろう。
突然の事すぎて分からなく、頭も混乱して考えがまとまらない。
「あ、空いてますけど……」
「そっか、良かった。じゃあ、8時半になったら事務所前に来てくれるかな?」
それはまるでデートのお誘いみたいで、まゆの頭の中に響く。
彼が本当は何をしたいのかが分からない。
けれど、きっとまゆの誕生日に関係することなんだろうというのは分かる。
お祝いの場? 素敵なところに連れてってくれるとか? それとも本当にデート?
まゆの望むようにはきっとならないかもしれない。
「はい……!」
そうだとしても、今日の夜がとてもとても待ち遠しく感じるのは当然の事だと思う。
42Res/43.19 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。