30:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 04:11:04.44 ID:XBBjnagi0
あの後、同じようにまゆも今までの思いを全て伝えた。
途中から何を言ってるのか自分自身でも分からなかったけれど、その時の彼の恥ずかしそうな仕草は忘れられないと思う。
遠慮して彼と少し距離を取っていた少し前のまゆ。
今では彼のしっかりした体に、べったりとくっついてる。
好きな人に思いっきり抱きつけるこの幸福感がたまらなくて、中々離れることができない。
離そうとしない彼のせいで益々離れられない。
それと同時に思い出したかのように鳴り出す胸の鼓動。恥ずかしさはもうないけれど。
「初めてかもなぁ」
「何がですか?」
「こんなにスッキリした気分なのは」
「うふふ、まゆもですよ」
この時間が、ずっと続けばいいのにと考えて……ちょっと待ってと、自分で待ったをかけて。
してもらいたいことは一杯あるけれど、今一番してもらいたいことを伝えたくて――
「……まゆちゃん、ちょっとこっち向いてくれるかな」
「何です――」
「――っ」
突然の優しいキス。
頭の中が真っ白になって。
次の瞬間には真っ赤な彼の顔が目の前にあった。
まゆは確認するように自分の唇に触れる。
……一番してもらいたいことを、言うよりも先にされてしまった。
ファーストキス、貰われちゃった。
まゆの目の前で恥ずかしがって、ぶつぶつと呟いてる彼を見て、誰があの行動をした人だと理解できるのだろう。
彼らしくない強引さだったけど、すごく……良かった。
頭を掻いて明後日の方向を向いて、けれども顔の赤さを隠せない彼を見て。
ちょっとからかいたくなる。
「……まゆ、強引な男の人は嫌いですよぉ……」
彼に対してそうは思ってないけれど、わざとらしく嫌そうな声を出して言葉にすると真っ赤な顔を真っ青にして。
「あ、あああああ!? ご、ごめん、本当にごめんっ!? うわぁぁぁぁ、俺のドアホー!」
豹変っぷりにまゆの方が狼狽して、なんとか誤解を解く。
いつも通りの彼には戻ったけど、本当に謝る感じが脳裏に浮かんで、おかしくて笑いが顔に出そうだった。
「……どうして、キスしたんですか?」
「……まゆちゃんがかわいかったから、我慢できなかった……かな」
単純な理由すぎて、我慢してた笑いが出てしまった。
でも、それだけ思ってくれてるののが嬉しくて、また彼に抱きつく。
普段よりも口数が少ないけど、しっかりと抱き返してきて。
この、夢のような時間がずっと続けばいいのに――
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