過去ログ - 【安価】エレン「オレが人類最強の兵士に？」サシャ「ﾑﾌﾌ、美味しそう」4【育成】
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109:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/30(木) 19:40:43.49 ID:+HT0fDRq0
それ以来、遼は貴音と敬子と一緒にいるようになった。
２人共、とても良い人だった。
温かくて、優しくて、落ち着く場所。

だけど。

遼の中には新たな欲が生まれた。
こんなに綺麗な人たちが苦しむ姿は、どんなものだろうか？
きっと綺麗なものに違いない。
見たい、とても、とても。

プログラムという状況に放り込まれ、その欲は一層膨らんだ。
三河睦（女子１７番）をメッタ刺しにした。
それはそれなりに楽しめた。
だけど、満たされない。
きっとこの気持ちが満たされるのは、貴音と敬子が苦しむ時。

ねぇ、どこにいるの？早く会いたいわ。
早く会って…その綺麗な体を切り刻みたいの。心から綺麗なあなたたちだもの、きっとその血も綺麗でしょう…？その時の悲鳴も、きっと何よりも美しいでしょう…？

遼はＥ＝０７エリアを北上していた。
今まで近寄らなかったが、Ｃ＝０７エリアにあるデパートに興味を持った。誰かが立て篭もっているかもしれない。生き残っているクラスメイトが半分を切った今、もしも誰かがいるなら、それが貴音や敬子である可能性は、決して低くない。もっとも、敬子はともかく、貴音は立て篭もってじっとしているタイプとは思えないけれど…

「遼…？　遼じゃない…？」

突然後ろから声を掛けられた。遼は長い黒髪を靡かせ、振り返った。普段は感情を表に出さない遼だが、もしも遼が感情をありのままに表現する人だったら、ありったけの笑みを浮かべて跳んで喜んだだろう。

「良かった…探していたのよ…貴音」

探していた椎名貴音が、目の前にいる。
ほら、やっぱり貴音は立て篭もるタイプじゃなかったでしょう？貴音の顔と上半身は、赤黒く汚れていた。返り血が掛かったらしい。意外ね…まさか手を汚しているなんて…あなたみたいな心から綺麗な人が、そんな事をしてはいけないのに…

「遼…どうしよう…っあたし…っ　こ、殺しちゃった…っ！！」

貴音が抱きついてきた。泣いている。

「…泣かないで、貴音…正当防衛だったんでしょう？あなたが自ら進んで誰かを傷つけるなんて事、あるはずないもの…」

そう、あるはずがない。そんな、あたしみたいな人を、綺麗だと思うはずが無い。

「ありがとう、遼…でも、どうして…？あたしは…誰も傷つける気なんてなかった…っ脇だって…[ﾋﾟｰｰｰ]気なんかないって…言ってた…なのに…どうして…こんな事に…っ！？」

脇連太郎（男子２０番）。少し、許せない。大好きな貴音を、こんなに傷付けているのだから。傷つけるのは、あたしだけに許された権利。

「仕方が無いわ…きっとそれがプログラムなのよ…」

遼は左手で貴音の頭を撫でた。そして、右手の神経は、握っている刀に集中している。こんなに斬り易い物が支給されたのも、きっと運命。貴音と敬子を斬れという、神のお告げ。泣きじゃくる姿も素敵…やっぱり大好きよ、貴音…だから…斬るわ！遼は刀のつばを親指で押し上げた。カラン、と鞘が落ちる。その音に気付き、貴音が顔を上げた。刀を一振りした。貴音は飛び退いたが、刃先はその左頬を掠めた。貴音はその場に膝をついた。鮮血が滴り落ちる。

「遼…？一体何を…」
「その表情も素敵よ、貴音。きっと、苦痛に歪む姿も綺麗なんでしょうね…？見たいわ、とても、とてもっ！！」

遼は刀をもう一度振った。貴音はばっと飛び退き、そのまま一目散に逃げ出した。しかし、遼は追いかけない。鞄の中から、Ｓ＆Ｗ　Ｍ１０（元は岩見智子（女子２番）の物だった。遼は死に様しか見ていないけれど）を取り出した。

陸上部エースのあなたを走って追いかけても無駄…わかっているわ、そんな事…

遼はＳ＆Ｗ　Ｍ１０の引き金を引いた。
乾いた銃声と共に、貴音は弾かれたように倒れた。
遼は走って貴音の許に行った。
大きな怪我などしていないだろうか？
銃で傷つけるという事は、遼の美学に反する。

貴音の上に飛び乗った。
見たところ、銃弾は右ふくらはぎを貫いたらしい。
遼は安堵した。

「逃げるなんてひどいじゃない…でも、良いわ、許してあげる」

遼は刀をぐっと握り、上に揚げた。
貴音は目を見開いた。

「ちょ…っ　遼、何を…」
「ねぇ、貴音。人の指って手足合わせて２０本あるじゃない？これを１本ずつ斬っていくとするでしょ？２０本目を斬られた事を自覚する人はいないらしいわ。皆…そこまでにショック死するとか」

貴音の顔が青ざめていった。
今、自分のおかれている状況を理解したのだろう。

「やだ、放して、放してっ！！」
「ねぇ、貴音。あなたは、何本まで耐えられるかしら？」

もがく貴音の左腕を押さえつけ、刀の切先の照準を親指に合わせた。

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