過去ログ - 【安価】エレン「オレが人類最強の兵士に?」サシャ「ムフフ、美味しそう」4【育成】
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116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/05/30(木) 19:47:22.54 ID:+HT0fDRq0
仕方ないか…だって、きっと動き回ったら危険だし…薫まで危険な目には合わせられない…誰か、薫を安心して預けられるような人がいれば…

「ナッちゃん、まだ?」
「もう少し、ほらね、入り口が見えて――」

奈都希はデパートの入り口を指差し――目を見開いた。誰かが銃を構え、入り口に立っていた。

「2人共、武器を捨てて」

聞き覚えのある、男の声だった。

「ちーちゃん…?」

薫が横で呟いた。確かに、あまり低くないその声は、茶髪と眼鏡と思わず見惚れてしまいそうな笑顔が印象的な、クラスに多くいる不良の1人、不破千尋(男子17番)だった。

「はァい、薫チャンに奈都希チャン、数時間ぶりだねぇ♪とにかく、武器を捨ててくれないかな?変なそぶり見せたら、容赦しないからね」

奈都希は眉をひそめた。千尋の考えが全く読めない。普段と変わらない笑顔を浮かべている。やる気なのか?違うのか?
ドサッと横で音がした。薫がデイパックを自分の前に置いた。

「あのね、ちーちゃん。薫、絶対こんなプログラムなんかに乗ってないよ。武器もまだ見てないからわかんない。ナッちゃんもそうだよ、ねぇ、ナッちゃん?」

ああもうこの子は…

「ほら、ナッちゃん!」

奈都希もデイパックを前に置いた。
考えても仕方がない。相手はクラス――いや、学年1の頭脳の持ち主だ、考えて勝てるような相手ではない。千尋は銃を構えたまま近づいてきた。2人のデイパックを片手に持ち、2人の周りを一周すると、銃を下ろした。

「悪かったね、中に入るかい?」

千尋はデパートを指差した。これも罠かもしれない。

「うん、入る、そのつもりで来たんだもん」
「そのつもりって…ここに何か用でも?」

千尋は薫を凝視した。そして、薫の膝にできた擦り傷を見て、成る程ね、と呟いた。

「もしかして、外に張った糸に引っかかってこけた?悪かったね、オレが用意したから…手当てするよ」
「ありがと、ちーちゃん!」

申し訳なさそうな千尋に、薫はいつもと変わらず笑顔を振り撒いていた。ああもうこの子は!

「ちょっとは疑うとかしたらどうなわけ!?」

奈都希は薫に耳打ちした。薫はむっと顔をしかめ、奈都希を睨んだ。

「ちーちゃんはいい人だよ!?それに、薫は皆を信じ続けるって決めたんだもん!!」

ああもう、おばかさんなんだからもう…
まあ、それが薫の良さなんだけど…
薫は強引に奈都希の腕を引っ張り、デパートの中に入った。そこで、千尋はおどけた感じでぺこりとお辞儀をした。

「ようこそ、男の園へ!いやでもよかったよ、男ばっかでむさ苦しくて…」
「不破テメェ何だその言い草は」
「散々こき使っといて、それはないだろ…」

奥の方から2人分の声が聞こえた。奈都希は思わず身構えた。しかし、2人の姿を確認すると、ふぅ、と息を吐いた。

「藤馬に穂高か…ビックリした…不破との組み合わせって、ちょっと珍しいじゃない」

稲田藤馬(男子4番)と斎藤穂高(男子8番)は、修学旅行のグループが同じだったので、それなりに親しい。尤も、2人は他のクラスの3人と共にバンドを組んでいるが、所属するバンドでは2人は特に人気なので、親しくしすぎると親衛隊に殺されかねないが。とにかく、この2人が一緒なら少しは安心できる。

「偶然会ったんだ」

藤馬がにっこりと微笑んだ。

「手伝ってくれって言われて、一緒にいたんだけど…不破ってば、人使い荒すぎ。もう既にヘトヘトなんですけどもねぇ」

穂高は溜息混じりに言った。千尋に訴えるように。千尋はあはははっと笑い声を上げた。

「穂高クンってば、あれ位で根を上げちゃあ駄目でしょ」
「あれ位じゃねぇよ、階段何往復したと思ってる!?」

藤馬が反論する。奈都希の頭に、何かが引っかかった。

「…手伝うって、何を?」

疑問を口に出した。千尋の笑顔が、少し変わった。挑戦的なそれに。


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