54: ◆IpxC/P/Kzg[saga]
2013/05/31(金) 14:38:40.16 ID:suZF7Yji0
【Pの宝物】
ある日、大切なものということについて考えてみた。
身近なもので言えば、お金ということになる。
世俗にまみれたような答えにうんざりしたが、仕方ない。
それがなければ、この世の中でやっていくことは、本当に厳しい。
小学校、中学校、高校、大学…俺は何が大事だっただろうか。
日々を遊びに費やした小学校時代。あまり勉強はしなかった。
中学校時代に、ようやく勉強の大切さを知ったのだ。
高校にあがり、人との関係を大切にした。
大学時代、世の中の仕組みについて正しく理解し、喜怒哀楽した。
そしてその葛藤の中、人を支えたいという想いから、この職についた。
俺は限界を知った。俺では、人を笑顔にすることはできない。
ならば、それができる彼女らの手助けを、と思った。
無論、楽な仕事ではない。けれど、やりがいを感じている。
アイドルの体調管理から、スケジュール管理まで。
肉体面から精神面のフォローまで、俺は友達のようにやった。
その結果、俺たちが作り上げた希望や結果に、共に喜び、泣いて喜んだ。
人生で1つだけ、自らにとって、最も大切なものをあげるとしたら、何だろう。
ここまでの人生経験から、色々なものをあげることになった。
人脈、お金、教養…形あるものから、そうでないものまで。
そして、今。日々を過ごしている俺に大事なもの、とは。
「―――この仕事は難しい。何をやるにも綱渡りだ」
「―――ああ、けれど…達成した喜びは、何者にも代えがたい」
「―――そして、私にとっても、君とっても、きっと―――」
そう言ってくれた社長の言葉で、俺は思い直した。
ああ、金でも、地位でも、ステータスでもないのだ、と。
今の俺を作り上げてきたそれが、これからを作るそれが大事だと。
「…ねえ、プロデューサー。何をみてるの?」
『…ああ、これか?昔の写真だよ』
「これ…プロダクションがはじまった日の、写真?」
『そうだ。いつになっても、これだけは、手放したくないからな』
『例えばさ、俺がいなくなっても、何もなくなっても、これだけはな』
「…もう。そういうこと言うの、やめて」
「でもさ、私もそう思う。私にとっても、1番大事なのはさ―――」
『うん』
『…思い出、だよ』
おわり
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