7: ◆IpxC/P/Kzg[saga]
2013/05/31(金) 12:37:00.22 ID:suZF7Yji0
【前川さん】
「みんな、ありがとにゃー!」
前川みくはソロライブ、そしてその後の公開収録を終え、俺と共に歩いていた。
いつものように猫耳としっぽを揺らし、機嫌がよさそうに見える。
彼女の猫への情熱に、右に出るものは居ないだろう。
彼女の活動は、当初キャラ作りではないかなどと疑われていたものだ。
それが今になっては、猫と言えばみくにゃん、などと認知されてきている。
動物系の番組があれば、必ずと言っていいほど出演依頼が来る。
俺も彼女の魅力を引き出すことができ、嬉しい。
『ええと、この後はどうしようか?』
「…あ、みくはやることがあるから、このまま事務所に戻るにゃ」
そう言って、彼女は今まで歩いていた方向から逆に、事務所へ向かって歩き出した。
ここからなら、事務所も近い。暗いわけでもないし、大丈夫だろう。
俺は前川みくに別れを告げ、家に向かって歩いた。
そしてしばらく歩いたあと、俺は忘れ物を思い出した。
そういえば、次回のみくの企画の資料を読み込んでおかなければならなかった。
次の企画まであまり時間がない。早めに確認しておかなければ。
焦った俺は、事務所まで早歩きで戻っていた。
「…さて、これで大丈夫だ。そういえば、みくはどこに居るんだろう?」
彼女は何かやるべきことがある、と言っていたではないか。
それなのに彼女の姿はどこにも見えないのだ。
ああ、居た。みく。みく―――
『ああ、そろそろ、猫耳ってキツいかな』
『尻尾最近電池切れてきたし買い換えないと…』
『猫耳もだいぶ反応悪くなってきたし、Pチャ―――』
「………」
『………』
『な、なーんて…みくは、本物の猫なのにゃん☆』
「………」
「では、失礼します、前川さん」
『何でにゃ!?』
おわり
130Res/56.92 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。