9:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage]
2013/06/03(月) 23:44:01.33 ID:pG0rEEGC0
「そういうつもりは無いんだけど……」
凛は、変わらず窓の外を見ている。
窓の外は普段と何も変わらない、都会の情景だ。
「ね、もし私がアイドルじゃなくて……ううん、やっぱり何でもない」
「まったく。そこまで言ったら同じだろ」
色んな人間が居て、色んな出来事が起こっている。
もしかしたら運命の出会いがすぐそこで起こっているかもしれないし、その逆も然りだろう。
「答え、聞きたくないし」
「……あんまり、小さい世界に生きるなよ、凛」
俺と凛が出会ったのも、この都会で、
「どういう意味?」
「いろんな意味。俺個人としては、向けてくれる好意はありがたいけどな」
凛との付き合いは、決して短くない。だから、お互いの事はそれなり以上に理解しているつもりだ。
「うん」
「凛くらいの年頃のそれは、麻疹みたいなものだから」
だけど、理解すればする程、分からなくなるのが人間なんだろう。
「……」
「そうだな、自分が納得のいくところまでアイドルの道を進んで、」
俺は正直なところ、アイドルではない渋谷凛を、もはや想像できない。そんな凛と接する自分のことも。
「何かを掴んだ時に、その気持ちがまだ本物だったら、それに身を任せても良いかもな」
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