過去ログ - 慎二「お前が僕のサーヴァントか!」その2
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252: ◆DDBjj51DRA[saga]
2013/07/02(火) 20:39:49.29 ID:XiBcDIlo0

「僕がこれからやろうと思うことを、悠長に説明させてもらうぜ」
「ここで臓硯さんが起こせるアクションなんて限られているし、桜ちゃんは尚更だ」
「故に、状況を変えるとしたら僕になる。その権利がある僕は説明がしたい。だから聞いてくれるかい?」

球磨川さんの手には、螺子が握られていた。
しかし、今までの螺子とは明らかに何かが違っている。
――――目に見える部分で言うなら、+螺子じゃなくて−螺子に、六角から平座に変化しているけれど、そんなことは問題にならないくらいに、何かがおかしかった。

「この螺子は、この過負荷は。――――――『却本作り(ブックメーカー)』。宝具で言うなら『穢れ亡き螺子』ってところか」
「『穢れ無き螺子』が『現実』を『虚構』にする過負荷なら、『穢れ亡き螺子』は『強さ』を『弱さ』にする過負荷だ」
「具体的には、この過負荷の影響を受けた者は皆、そのポテンシャルが押しなべて僕と同一になる」
「知能は低迷し、体力は衰退し、才能は消え失せ、人望は失墜し、精神は崩壊する」
「だからこれをその身に受ければ、臓硯さんは一溜まりもない」
「恐らくだけど―――――魔術に関する才能なんて、僕は持ち合わせちゃいないからね」
「魔術によって生きながらているその肉体は、この過負荷に耐えられない」

「…成程のう。確かに、とんだ隠し玉じゃが……その宝具を扱うのがお主である以上、儂をお主と同じにすることは出来んよ」

「その通り。僕に、『穢れ亡き螺子』を他人に命中させるような投擲能力は無い。逃げる的なら尚更だ」
「だから本来なら、僕にしか扱えないのに僕には扱えないという至極微妙な切り札ではあるんだけどね」
「今回は、その限りじゃあ――――――無いんだよ」

「――――――――――――……お主は何を言っておる…?」

「見ればわかるさ」

そういうと球磨川さんは、螺子を構えて突き立てる。
心臓に向かって、突き立てる。

「きっとこれで最後になるだろうから、言いたいことは言っておくね」
「一時的とは言え、きみを幸せに出来ないどころか世界一不幸にしてしまう僕を、どうか存分に憎んでやってくれ」
「『これ』は、きみのタイミングで解除できるはずだ。事が済んだ後、早々に幸福を取り戻そうと動き始めてくれたら、僕は嬉しいな」
「きみの願いは、結局ほとんど叶えてあげられなっかったけれど、そこは僕だからね。勘弁してほしい」
「……繰り返しになるけど、きみは幸せになれ」
「普通に学校に行って、普通に恋愛をして、普通に家庭を持って、普通に歳を取って――――幸せに死ね」
「僕の事なんか、綺麗さっぱり忘れてね」
「…こんなところかな……。それじゃあ―――――――さようなら、桜ちゃん」

「『―――――――またどこかで会おうぜ。』」


彼はわたしの――――――――――わたしの心臓に向かって、『却本作り』を突き立てる。




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