過去ログ - 慎二「お前が僕のサーヴァントか!」その2
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877: ◆DDBjj51DRA[saga]
2013/08/28(水) 21:44:38.08 ID:TOuMypW/0

何が起きたのかと言われるとヴァッシュの思惑通りカウンターのカウンターのカウンターが成功したと言わざるを得ないが、そもそもアサシンの縮地を読み切る事など可能なのか。
アサシンの縮地は真後ろに関わらず、全方位に移動できる究極の返し手であり、そして攪乱技でもある。
これで敵を肩すかしにして逃げおおせる、というのがパターンの一つだ。
つまり、途轍もなく自由度が高い。
縮地の後で取る行動には、無限の選択肢があるといっても過言では無いほどだ。
それ故に、ヴァッシュはあえて隙を作った。
そもそも、構えからしておかしかったのだ。ヴァッシュのあの構えは、横からの攻撃に弱すぎる。
しかし、あまりガラ空き過ぎるとアサシンには誘いだと露見してしまう。
あのニンジャは、それくらいの練度だ。
では、ヴァッシュはどうやって隙に誘い込んだのか。

誘い込んだのではない。アサシンが自ら突っ込んできたのだ。
それが、作られた隙だと分かっていてなお。
なぜならば、作られた隙であろうとなかろうと一瞬でも隙があるならば、アサシンの速度で突けぬはずがないのだから。

そこを、利用する。
ヴァッシュはそう来ることまで読んだ上で、あの構えを取ったのだ。
といっても―――――――――構えを取ったのは、アサシンに縮地を選択させるための数秒のみ。
・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・
アサシンが縮地で右側に移動し、脇腹に肘打ちを放つと予想して―――彼はその時点で構えを解いた。
アサシンはそれに気付いていなかっただろう。
パイロットの三割頭と言うように、高速での移動中は思考力が落ちる。
咄嗟の構えの変化など、気付いたところで気にしなかっただろう。

しかしヴァッシュはその動きにこそ、全霊を掛けた。
少し腰を捻るだけ。少し膝を落とすだけ。少し肘を曲げるだけ。
その動作を最速で、正確に無駄なく行うことで――――――――――縮地で移動してきたアサシンの鼻っ柱に、肘鉄を見事命中させた。

「ごッ――――あッ……があああ!!」

高速で移動してきたアサシンは、その肘に激突するだけで低空を派手に回転しながら飛行する。
そのうちに速度も弱まって、背中を地面に削るようにしながら着地した。

「ぐ…おおおぉぉ……!!…お、お見事ぉぉ……」

アサシンは鼻を両手で押さえながら、仰向けのままにそう呟いた。
どうやら本気で痛かったらしい。

「流石だよ、アサシン。きみならきっと、正確に脇腹を狙ってくれると信じていた」

アサシンが予想に反した行動をとればその時点で、ヴァッシュは打撃を受けていただろう。
微妙な体勢変更も『縮地で右側に移動し、脇腹に肘打ちを放つ』という最善の一手ピンポイントにしか効果を発揮しないカウンター。
このカウンターでヴァッシュが信じたものは――――自分ではなく、アサシンだった。

「これでも伝説のガンマンだからさ。銃じゃないけど、狙い撃ちしたんだ。そこはしっかり決めないとね」









ここまで



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