15:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/05(水) 17:20:41.58 ID:oF1bJHBN0
【凛の結婚式】
渋谷凛がトップアイドルになったあと、俺たちは永遠の愛を誓った。
世間ではアイドルが入れ替わり、何もかもがあの頃とは違っていた。
そんな中、プロダクションのみなを招いての結婚式が行われる。
彼女はいつにもまして…世界中の誰よりも、美しかった。
「ねえ、プロデューサー。こんな日がくるなんて、私、思ってなかった」
彼女との出会いは、非常に印象的だった、と感嘆していた。
ゆっくりと信頼と実績を重ねるに連れ、俺達は自然と惹かれ合った。
アイドル活動の最中でも、逢瀬を交わし、愛を確かめ、ささやかな幸せを得た。
『俺もだよ。けれど、俺は何1つ後悔なんてしてないよ』
「それは、私もだけど。そんなことしてたら、怒るから」
冗談交じりに、けれど、少しだけ本音が入り混じった乾いた声で笑った。
凛は心配だったのだろう、と思う。自らに自信がない、と語った。
数あるアイドルの中、なぜ自分を選んだのか―――と。
『気付いたら、凛のことが好きだった。もう、目も合わせられないくらいに』
「…ふふっ、そっか。なら、いいよ」
彼女らしい薄いメイクの下には、彼女の端正な顔立ちがあった。
それでは、新郎新婦の入場を行いますので、とボーイに促され、手をとった。
一世一代の華やかさに包まれた場の中で、俺と彼女の呼吸だけが静寂を支配していただろう。
彼女は俺の腕に手を回し、俺も前だけを向いて、未来だけを見て、歩き出した。
「ねえ、プロデューサー。アイドルになってよかったと思ってるの」
『…俺も、プロデューサーになってよかった、って思ってる』
「プロデューサーに出会えて―――」
『凛に出会えて、よかった。心から、そう思ってる』
「………」
「ありがとう」
彼女は、腕に込めた力を少しだけ強め、俺の顔をちらりとみた。
見つめ返した彼女の瞳は潤んで、俺を離さなかった。
ああ、俺まで泣いてしまいそうになった。
祝福の花びらが俺たちを包み、誰もが幸せを願ってやまなかった。
神父が並べていた言葉を耳にしながら彼女の瞳だけを見つめ続けた。
彼女の細く白い指先に指輪をはめ、指輪の交換を終えた。
誓いの言葉を述べ、薄いレースへと手を伸ばす。
「ずっと、一緒にいてください」
『こちらこそ、凛に永遠の愛を誓うから』
「…うん」
そこには、ただ時が止まったような空間だけが広がって。
2人だけの世界の中、いつまでも、愛を呟いた。
彼女も、そして俺も、涙を流して。
そして、ゆっくりと―――俺は、彼女に、口づけた。
おわり
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