過去ログ - まどか「安価で1レスSS選手権!!」part7
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[sage]
2013/07/09(火) 23:01:53.02 ID:yHbNdsvAO
ベンチに座りながら、浅いまどろみから眼を覚ますと、傍らに小さな猫がいた。
それは飼い猫だった。高校生や探偵でなくとも分かることだ。
黒い毛並みに、真新しい紅い首輪をはめている。
『Kaname Aimee』。
それがこの猫の名前らしい。
その語感に少しくすりとし、猫の寝顔を黙って見つめていた。
心はただただ空虚だった。
生きる目的もすがりつく教えも、何もかも無くしていた。
残された選択肢は多くない。
死んだ家族の後を追って、全てを終わらせる。
世の中を呪いながら、魔女と使い魔を殺し続け、絶望のなかで生きていく。
生だろうと死だろうと、その先の結末は変わらない。
自分の家族を殺した罪を償えないかぎりは。
彼女はそう思い込んでいる。家族が死んだのは自分の責任であると。
その内罰的思考は延々繰り返され、罪の意識に押しつぶされるのも時間の問題だった。
今、彼女は猫を胸に抱いて、近くにあった公衆電話の受話器を手にしている。
機械を魔法で細工し、猫の首輪に書かれていた十一桁の数字を入力する。
番号は生きている。
自分でもそうする理由はわからなかった。見知らぬ他人に親切心を働かせる余裕などなかったはずなのに。
しばらくして、呼び出し音が途切れる。
「あの、かなめさんのお宅でしょうか……」
”……姉ちゃ、だれ?”
男の子の声だった。舌足らずな感じからして、だいぶ幼い。
「えっと……お母さんはいるかな」
”ママ、いまおしごといってる”
「じゃあ、ママの代わりに、パパがお家にいるんだ」
”ううん。パパはね、おそとで……トマトとってるよ。まろかもいるの”
「パパか、その、まろかって人を呼んできてほしいんだけど……」
”…………まろか、ダメだって”
「そ、そっか。それじゃ、パパをお願いするね」
”うん、わかった”
元気な声が遠ざかり、程なくして、若い男性が電話に出た。
「あ、いえ、全然そんなことは……。あの、実はそちらの猫を……ええ、偶然見つけて……それでお電話を……」
相手に用件を伝え、これから猫を引き渡す約束を取り付けた。
現在地を告げ、そして電話を切る。
「……何やってんだろうな、あたし」
彼女は猫と眼を交わし合い、ため息を吐いた。
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