過去ログ - クリスタ「ユミルを好きになるお話」ユミル「ほう」
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81:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2013/06/16(日) 22:22:06.69 ID:ruhryq9v0

「っ……」


私は左足で壁面を思い切り蹴った。ガスを噴き出して、二つの鎖をできる限り壁の下方へ刺さるように打つ。
真っ暗な闇の中に重力のまま身体が落下していく。金属が石壁と激しく擦れ一瞬火花が見えた。


彼女は、一体何なのか。エレンと同じ、巨人化できる人間だと言うのだろうか。
そんなもの、そう何人もいては、たまらないではないか。巨人化を目の当たりにしたわけではない。
半信半疑だが、では、彼女は上層部での極秘裏に行われていた実験の情報を外へ持ち出そうとしているということになる。


「外……?」


疑問を口にしたとたん、上から声がした。落下速度が速すぎて何を言ったかまで聞き取れなかった。
それに構っている余裕もない。暗闇に飲み込まれるように壁に張り付いた。


瞬間、銃声。同時に右肩に鋭い痛み。身体が激しく揺さぶられ、意識が吹っ飛びそうになった。


「……っ!?」


思わず呻いた。その後、二発目の銃声――――、


「つあっ……!?」


次は脇腹を抉り取られたような衝撃、そして燃えるような激痛。撃たれた。漸く理解した。
上半身に力が入らず、平衡を保てない。


傷口から血が噴き出している。生温いものが身体を伝って垂れていく。
左手で右肩と脇腹を素早く触ると、出血が酷いことが分かった。目まいがして、平衡を保てなくなり身体が一気に反転する。


離れなければ。身体を起こそうとするが、力が抜けていく。


「あっけないわね。ほっといても死ぬと思うけど……」


振ってきた声に、朦朧とした意識が死を悟っていた。無様に壁に張り付いて死ぬのか。
まるで、巨人たちのように。



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