11: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:35:30.84 ID:/rY7KXeB0
――もう、何でもいい。
何も変わらないなら、変わった物も悩んだ事も全て捨て去れば良かったんだ。
全てを捨て去った気分になってレッスンに挑んでみるとミスも全く無くなり
身体が軽いような感覚。でも、それと同時に抜け殻のようになった私の目からは
12: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:35:59.23 ID:/rY7KXeB0
貴方は私に必死になって声を掛け続けてくれた。
まるで、貴方の中で止まっていた時間が動き出したように。
私の耳には「戻って来い」と言う言葉が響き続ける。
何度も何度も貴方は私の名前を呼び、動かない私を呼び戻そうとする。
13: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:36:37.59 ID:/rY7KXeB0
できる事なら、すぐにでも言葉を返したかったのに。
今ならプロデューサーが変わった理由を聞ける気がしたのに。
涙声の貴方は必死で名前を呼んでくれた。
それでも動く事ができなかった。
14: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:37:07.45 ID:/rY7KXeB0
貴方の温もりで私の凍りついた心は再び動き出した。
貴方は悩み続けていた事を泣きながらも全て私に打ち明けてくれて
やっと――昔の貴方に戻ってくれた。
やっと、いつも通りの私達に戻れた。
15: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:37:44.69 ID:/rY7KXeB0
……そう思っていたのに。
……そう信じていたのに。
オーディションに受かり、デビューが決定し
……全ては順調に進んでいたように思えたのに。
16: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:38:20.30 ID:/rY7KXeB0
プロデューサーが突然私の傍から姿を消した。
普段なら残す伝言すら残さずに、突然。
最初は風邪とか、何か忙しいのだろうと考え仕事に励み続けていた。
17: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:38:50.40 ID:/rY7KXeB0
それなのに何の伝言も残されてはいなかった。
唯一聞けたのは「都合上、遠い場所にいる」と言う事だけ。
プロデューサーの事が心配で
逆に言えばただ、それだけの事なのに私は仕事すら手につかない状態に陥っていた。
18: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:39:34.11 ID:/rY7KXeB0
プロデューサーが話してくれた「時間が止まった頃」のように
貴方が居なくなった事で私の中の時間も止まってしまったのかもしれない……。
何でだろう。何とも思っていない筈なのに。
ただのプロデューサーなのに。
19: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:40:08.07 ID:/rY7KXeB0
プロデューサーは……貴方は
私の事を「見ていてくれる」から……
私の事を「一番に考えてくれる」から……
それだから、私も貴方の事を一番に考えるようになったのかもしれない……。
20: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:40:33.19 ID:/rY7KXeB0
「如月君」
「――!?」
気がつくと、私の傍に社長が立っていた。
21: ◆K/laHoEzHc[saga]
2013/06/07(金) 14:41:21.64 ID:/rY7KXeB0
手紙……?
私への伝言は何も無かった筈じゃ……?
「隠していてすまない。 私はとある人物に頼まれて、今まで渡すのを躊躇っていたんだ」
「今まで……私が辛い思いをしているのを知っていて隠していたんですか?」
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