124: ◆1tBDHI3yRAXR
2013/06/13(木) 21:20:52.09 ID:ZWKBIbP80
いつものように紅茶を一口。
次いで正面の彼女を見る。
わたくしと同じく椅子に座っている彼女は、両手で持った一枚のクッキーを、まるでリスのようにカリカリと食べていた。
見ていてとても暖かい気持ちになる光景。
心地よさに身を任せて彼女を見続ける。
そんなわたくしの視線に気付いたのか、クッキーを食べ終えた彼女は小首を傾げた。
「桃華ちゃんは食べないの?」
「そんなわけありませんわ」
────千枝ちゃんが作ってきてくれたクッキーですもの。
その言葉は飲み込んで、クッキーへと手を伸ばす。
ところどころが焦げていて大きさも不揃いな、千枝ちゃんの手作りクッキー。
わたくしがいつも食べているクッキーと比べると、ひどく見劣りすることは否めない。
だけどどちらを食べたいかと問われれば、迷わずこちらを選ぶだろう。
「今日のはどうかな?」
「……とても、美味しいですわね」
「本当っ!? 良かったぁ…………」
わたくしの言葉で、満面の笑顔が咲く。
その眩い姿に、微笑みを返す。
そうしてまたわたくしは、クッキーを一口齧るのでした。
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