過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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16: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:00:14.94 ID:9jYWSIZM0
「あら比企谷くん、どうしたの? いつもより暗い雰囲気のようだけど。十円玉でも落とした?」
「お前俺のテンションがそんなことで下がると思ってんのか」
「十円を笑う者は十円に泣くわよ。そもそもあなたが十円を稼ごうと思ったら、何時間働かないといけないと思っているの?」
「俺をどんだけ劣悪な労働環境に叩き込みたいんだよ、お前は」

以下略



17: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:03:29.16 ID:9jYWSIZM0
「んで、いるのはお前だけか。由比ヶ浜は?」
「さっき来れないかもしれないと連絡があったわ。補習があるそうよ。無理して来なくても大丈夫と伝えておいたけど」
「ふーん」

 となると、今日は二人だけの部活か。
以下略



18: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:07:51.43 ID:9jYWSIZM0
「それで、実際何かあったの?」

 ぱたんと雑誌を閉じてこちらに向き直る雪ノ下。
透明な視線が、真っ直ぐに俺の目を射抜いてくる。
その余りに整い過ぎた器量のせいで、ともすれば感情に乏しく見えてしまうが、もちろん実際にはそんなことはなく。
以下略



19: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:12:34.00 ID:9jYWSIZM0
「別に大したことじゃないって。ただ進路調査のレポートの再提出を命じられて、その際ボディに何発かいいのをもらったってだけだ」
「惜しいわね、どうせなら頭にもらえば良かったのに」
「それは平塚先生に言ってくれ」

 というか、惜しいの意味もどうせの意味も分からない。
以下略



20: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:16:27.75 ID:9jYWSIZM0
 と、そんな俺の思考を読んだわけでもないだろうが、ふと柔らかな笑みを浮かべる雪ノ下。
思わず見惚れてしまいそうな程に綺麗で清らかな微笑。
しかし、こいつの本性を知っている俺は騙されない。
雪ノ下は、辛辣になればなるほど良い笑顔になるのだ。
端的に、俺をおちょくってる時にこそこいつの笑顔は輝くとさえ言ってもいいだろう。言いたくもないが。
以下略



21: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:20:42.62 ID:9jYWSIZM0
「それにしても再提出って、一体何て書いたの?」
「黙秘する」
「駄目ね、あなたに人権はないわ」
「おい待て、奪うならせめて黙秘権までにしてくれ」
「それで、何て書いたの?」
以下略



22: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:25:56.17 ID:9jYWSIZM0
「……今までとおんなじだよ。家庭に入りたいって書いたら何故か怒られた」
「呆れた、まだそんなことを言っていたの? いっそ消えてしまえばいいのに」
「会話の端々でさり気なく俺の失踪を望むな」
「ねぇ比企谷くん、諦めるのは良くないわ。例え合格する可能性が限りなくゼロに近かったとしても、その確率はゼロに漸近するだけで決して無くなるわけではないのよ。だからせめて今くらい叶わぬ夢を見ておきなさい」
「お前今自分で自分の言説否定したからな。叶わないって言い切ったからな」
以下略



23: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:28:55.51 ID:9jYWSIZM0
「大体あなた、自分で進路は私立文系って言ってたじゃない。興味のある大学だって無いわけではないのでしょう?」
「まぁそりゃ無くはないけどさ。でもあれだ、今回のは第一志望を書けって事だったし、それならこう書くしかないだろ」
「何胸を張って戯言を言っているの? 息を吸うことか息を吐くことか、どちらかだけでも止めてくれない?」
「止めてたまるか。俺はゲイラになるつもりはない」

以下略



24: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:32:41.22 ID:9jYWSIZM0
「とりあえずあれだ、書き直せって言われたし、今度は普通に大学名を並べていくことにするわ」
「最初からそうしなさい。この程度のことすら言われなければ分からないなんて、あなたの頭の容量は何キロバイトなの?」
「ごく自然にフロッピー以下に設定すんな。幾らなんでももうちょっとあるっての」

 わざわざキロと付け加える辺りがこいつの性格の悪さを端的に示していると言えよう。
以下略



25: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/06/08(土) 01:35:53.14 ID:9jYWSIZM0
「そもそも、大学進学って決して悪い事ではないでしょう。元よりあなた勉強自体は嫌いではないみたいだし」
「ばっかお前、ぼっちが大学デビューとかどういう事態になるか分かってんのかよ? そんなもん悲劇しか生まれねぇよ。そりゃもうハムレットも真っ青なレベルだぞ」
「戯曲家が聞いたら激怒するレベルの暴言ね」
「ん? つーかよく考えたらハムレットとか普通に友達いるじゃん、しかも身分は王子さまだし。何それ、悲劇とか言って俺よか全然マシじゃねぇのか? そんなことで不幸だとか温いっての。んな程度のメンタルで社会を生き抜いていけると思うなよって言いたいね」
「あなたも社会から脱落寸前でしょうに、何を偉そうに語っているの?」
以下略



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