過去ログ - 八幡「徒然なるままに、その日暮らし」
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660: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:51:17.41 ID:jKlodeLz0

「ちょっと、急に立ち止まらないで頂戴。なに? 忘れ物でもしたの?」

 少し不服そうな声。
けれどこちらとしては、それを気にする余裕なんて無かった。
以下略



661: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 21:56:04.37 ID:jKlodeLz0

「あー……えっとさ、その」
「日本語まで不自由になったのかしら。言いたいことがあるのならはっきり口にしなさい」

 上手く言えずに口ごもってしまった俺に、雪ノ下は不審そうな眼を向けてくる。
以下略



662: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:03:28.57 ID:jKlodeLz0

 意を決して、買い物袋の中からある物を取り出して、すっと差し出す。
視線が俺の手元に向かい、それが何かを理解した瞬間、雪ノ下が目を丸くする。

 それは、さっき雪ノ下が迷った挙句選ぶことのできなかった人形の内の一つ。最後まで悩んでいた片割れだ。
以下略



663: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:08:31.56 ID:jKlodeLz0

 すっと目が細くなり、訝しむような声で問うてくる雪ノ下。
予想はしていたけど、散々な言われようだった。

 まぁそうだよな、普段の俺からは考えられないもんな、こんな行動。
以下略



664: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:14:32.70 ID:jKlodeLz0

「どちらにしても、それは受け取れないわね。あなたに施しを受ける謂われはないのだし」
「いや、でも欲しかったんだろ、これ。お前最後まですげぇ悩んでたしさ」
「……そうね、否定はしないわ。だけどそれでは質問に答えてないわよ。どうしてそれを私に渡そうとするの? 何が目的なの? 自分がいらないのなら小町さんに渡せばいいのではなくて?」

以下略



665: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:23:00.55 ID:jKlodeLz0

 まぁ当然と言えば当然の話か。
雪ノ下は、たとえ自分が欲しかったものだとしても、人からただ与えられることを良しとするような女ではない。
理由もなく人から物を貰うなんて、むしろ忌避していそうですらある。
そんなこと俺だってよく知っていた。
以下略



666: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:26:46.82 ID:jKlodeLz0

 理屈ではわかっているのに。
なのに、どうして俺はこんなことをしているのか――自分の中の何かに突き動かされるような、そんな衝動的な行為だったけど、その何かがわからなかった。
いつだって自分の気持ちというのは、自分自身ではどうしたってままならない。

以下略



667: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:31:43.29 ID:jKlodeLz0

 もっと以前であれば、俺から物を貰うなんてあり得ないとか言って、話も聞かずに一蹴されていたかもしれない。
あるいは怒りすら滲ませまがら、無言で立ち去っていたかもしれない。

 でも、今は違う。
以下略



668: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:38:39.46 ID:jKlodeLz0

 さっき小町に煽られたから、というわけでもないけど。
以前に陽乃さんに唆されたから、というわけでもないけど。
いつか由比ヶ浜に諭されたから、というわけでもないけど。

以下略



669: ◆/op1LdelRE[saga]
2013/09/07(土) 22:45:54.66 ID:jKlodeLz0

「――これは、小町に渡そうと思って買ったもんじゃねぇよ。これはお前に――雪乃にあげたくて、手に入れたんだ」
「だから、どうして? それを私が受け取る理由はないじゃない」
「理由とか理屈じゃないんだよ。下心とか疑われるかもしれないけど、そういうのでもなくて……何て言ったらいいんだろうな、あぁもう」
「……」
以下略



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