過去ログ - 佐々木千枝「千枝は、わるい子です」
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2:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2013/06/09(日) 00:25:37.73 ID:j7T+CQqZ0
 仕事の合間、ふとプロデューサーさんを見ると、彼の着ているシャツのボタンの一つが外れかかっていることに気づいた。そのことを彼に指摘すると、彼は恥ずかしげに頬をかき、外で引っ掛けてしまったのだと教えてくれた。

「まあ、家に帰るまでの我慢だな」

 そう言って、プロデューサーさんは外れかけたボタンを揺らした。

 私は「良かったら」と前置きしてから、少しを間を空けて

「プロデューサーさん、シャツのボタン、つけてあげますよ?」 

 と提案した。その時の口調は、オトナを意識した似合わないものだった。勇気を振り絞って言ってみたが、プロデューサーさんに生意気だとは思われなかっただろうか。自分で不安を煽りながら彼の返答を待つ。返事はすぐだった。

「ははは、それじゃあ、お願いしようかな」

 プロデューサーさんは手早くカッターシャツを脱ぐと、私に手渡してきた。たちまち彼の姿は、肌着一枚にスラックスというアンバランスなそれに変わる。

 露出の増えたプロデューサーさんの姿のせいで、目のやり場に困ってしまう。見てしまえば、はしたない子だと思われてしまうかもしれない。彼のシャツを受け取り、私は彼に目がいかないよう、ポケットからソーイングセットを取り出して、すぐにボタンの取り付けを始めた。

「そうだ、今日は大きなイベントだし、緊張してるんじゃないか」

 針に糸を通し、ボタンの穴を通りながら針を生地に往復させていく。

「ドキドキするけど、楽しみです」

「そうか。それは良いことだ」

 静かで心地の良い時間だった。プロデューサーさんにオトナとして扱って貰えている様な気がして、とても嬉しかった。





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