過去ログ - モバP「お題でSS」
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149: ◆IpxC/P/Kzg[saga]
2013/06/09(日) 22:12:58.72 ID:CY9RELSC0

【Pと未央の新婚旅行】

俺が本田未央と入籍してから、数週間が経った。

トップアイドル本田未央の電撃引退。誌面にはそう書かれていた。
まことしやかに囁かれた噂も、もう落ち着いている。
見計らったように、新婚旅行だ。

「プロデューサー。私、こんな幸せでいいのかな」

勝ち得た喜びが、全て崩れ落ちることを心配しているのだろうか。
薬指にはめられた指輪を愛おしむかのように撫でていた。
彼女の不安を払拭しようと、俺は言った。

『大丈夫だ。未央とはこれから、これからも、ずっと一緒だ』

「…うん。うん。そう、だよね。ごめん、何か変なこと言っちゃった」

いいんだ。そう言って、後ろから未央を抱きしめた。
俺はまだプロデューサー業を続けているゆえ、遠出はできない。
そう告げたときでさえ、彼女は怒ることもなく、ただ、喜びを露わにした。

「お仕事行こうか、なんて言ってた頃が、なんだか懐かしい」

『そうだな。あの頃のことだって、何1つ忘れてないよ』

「嬉しい、な。ありがとう」

『新婚旅行、か。やっぱり、感慨深いな』

「うん」

行き先など、決めていなかった。決めるつもりもなかった。
その理由など、決まっている。彼女となら、どこへでもいけるのだから。
彼女は俺の考えを汲み取ったかのように笑い、そして、俺の指に指を絡ませていた。

きっと、この幸せはいつまでも続いてゆくのだろう。そう直感していた。

いつかは、俺たちには新婚と呼ばれることのなくなるくらいの月日が訪れる。
けれど、彼女と誓った愛は、いつまでも褪せることのない輝きで。
いつまでも新婚のような、そんな未来が待っている。

『じゃあ、そろそろ、時間だな。この電車だと思う』

「あはは。思う、って。でも、間違えても、それはそれでいいのかも」

「行こっか」

ゆっくりと音を立てて、電車のドアが開かれる。
特別な電車でも何でもないが、行き先だけは幸せな未来だ。
そして、俺たちはそれに乗って、さらに多くの愛を紡ぐのだろう。

俺たちの日常は、いつまでも新婚旅行と言えるだろう。そう、思えた。

                 おわり




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