173: ◆IpxC/P/Kzg[saga]
2013/06/09(日) 23:15:26.82 ID:CY9RELSC0
【仁奈ちゃんのパパになったP】
プロデューサーさんが市原仁奈ちゃんのパパになりました。
ああ、と言っても、彼が実の父親ではありません。
あくまで、仁奈ちゃんが形式上の父として申し出たのです。
そんなわけで、彼と彼女は日々、親子のように過ごしているのです。
「ああ、仁奈。今日のきぐるみも違うんだな」
『そうでやがりますよ!色々な気持ちを知るですよ!』
「そっか」
プロダクションでもとても微笑ましい一面を見せてくれます。
それだけで、事務所の雰囲気は和らぎます。
ああ、とてもいい雰囲気。
さて、そんな生活を続けていて、私は気になったことがあります。
最初は気にしてはいなかったのですが、きぐるみが異臭を放つこと。
作り物のはずなのに、あまりにも動物のような香りがして。
お洗濯、たまっているのかしら。そう思いました。
「プロデューサーさん。家事とか、大丈夫ですか?」
『ああ、ちひろさん。大丈夫ですよ。どれもきちんとこなしています』
彼はどうにも嘘をついているわけではなさそうでした。
なら…どうして。仁奈ちゃんは、どうしてあの香りを纏っているの?
そう思いましたが、その答えを知ったのは、仁奈ちゃんが居なくなった日でした。
『仁奈、パパの気持ちがわからねーですよ』
私が事務用品の買い出しから帰ってきて、事務所に私と彼と仁奈ちゃんだけの日。
あれ?家庭では、上手くいっていないのでしょうか。気になりました。
息を殺して話を聞いていると、そういうわけでもない。
「そっか。なら、俺はどうしたらいいかな?仁奈に、何ができるかな」
『………』
『何でも…してくれやがる、ですか?』
「うん」
『本当に本当でやがりますか』
「本当だ」
『なら…目を、閉じやがってください』
これはまさか、もしかして?さすがに、止めるべきかと思いました。
けれど、その雰囲気は事務所中に満ちていて、もう。
そして、彼女は嬉しそうに言いました。
『いただきます』
翌日から、市原仁奈ちゃんの事は、誰も覚えてない、と語るのです。
社長。そして、アイドル達も。居なくなったプロデューサーも。
そして社長が、新たなプロデューサーを連れて来ました。
どうみても、あのプロデューサーさん。どうして?
考えをまとめてもまとまらず、その間に、彼は大きな声で言いました。
「今日から、よろしくしやがって欲しいですよ」
おわり
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